極めて近く限りなく遠い世界に 4
(……なんだこいつらは。変態か何かか……。
ジュエルシードに一般人が触れてもなんともないのか)
頭の中に声が響く。誰がしゃべっているというわけでもないようだが……
(マスター。気付いているか。私だ。イザナギだ)
首を見る。緑色のあの宝石がある。まさかと思ったが他の誰の声でもないらしい。
(詳しいことは話せないが、あの青い宝石は通常、人間が触れると
その欲望・願望と反応して暴走するのだ。だが暴走しない様子……)
(お前こうして話せるのか。なんで今まで黙ってたんだ)
こちらからもこいつに念じるだけで話せるらしい。
(昨日の戦闘で全ての力を使い切ったのだ。今はこの青い宝石、ジュエルシードが
接近してきたため、あれから魔力を充填して会話が可能となっている)
(お前さっき何か言ってたな、触れたら危険とかどうとか)
(そうだ。このジュエルシードは発見され次第、
早急に保護・封印されるべきと私の中に刻印されている)
目の前では大間さん含む五人があのジュエルシードを宝石として
どうにか売れないかとの算段をしている。
(無反応の理由は判らないが、放置しておくには危険すぎる。
あれを確保できないか)
確保と言ってもな……。そりゃ大金があれば買い取りも出来るだろうが、
今の自分は自分の寝食にすら事欠く有り様。何より記憶もない。どうしろと。
(そうだった。ならばせめて様子が見られる範囲に置いておければ)