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ドラゴンクエスト〜外伝〜
その他リレー小説 - 二次創作

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ドラゴンクエスト〜外伝〜 3

シンもロンの言葉に頷く。
「我々の第一任務は、その大陸にすむ同胞との接触及び情報収集だ。
 恐らく向こうもゾーマ消滅に伴う異変には気付いているだろうから、何がしかの備えはしておろうが」
「少なくともこっちの奴らといきなり戦いになんて、なりたくはねえな。
 キメラがいきなり焼けつく息を吐いてくるような所だ、どんな敵が来るか分かったもんじゃない」
満月草の効果が現れてきたのか、ジェイクの所作から硬さが取れ通常のものになる。
ジェイクは先程のキメラの急襲で、焼けつく息によって麻痺させられていた。
アレフガルドのキメラは炎こそ吐くが、焼けつく息は吐かない。その隙を突かれた。

「そうだな、警戒しておくに越したことはない。で、だ」
シンはロンへと向き直る。
「そちらのお客さんはどのようなご用向きかな?」
そう言うとシンは近くの草叢へと目を遣る。

「なるほど、近くの村からか……」
物陰で三人の様子を窺っていた二人は呆気なく見つかり、
シンに事細かに周辺の事情を訊かれていた。
「ロン、お前つけられてたんじゃないのか」
「気配は全くしませんでした。恐らくは……」
ロンはネオの持つ杖を見る。現地の魔法技術で作られたとおぼしき術士用の杖。
「ここから北が本土と異なるキメラが生息する危険な森林地帯だという事は、我々も踏破して把握済みだ」
ネオの近辺の情勢の話に対してシンが応える。
「本土?」「気づいているだろうが、我々はこの大陸の人間ではない。遥か西方のアレフガルドから来た」
「なるほど、やはり」
バーンもロンも、また当然村の他の人々も、この間の異変を受けて備えを重ねていた。
完全に闇に遮断されていた西方の大陸が解放されたらしい、という噂話だけは聞いていたが、
それにも増して実感として光が増えた。三人から詳細な話を聞く限り、
それもまたゾーマなる魔王が倒された影響の一つだったのであろう、とネオは判断する。
「ま、そういうわけで、あんたらには是非とも村への案内役を願いたいわけなんだが。
 住人のあんたらがいれば、無用な警戒もされずに済む」
ジェイクが無作法ながらも、本人にとっては丁寧な言葉を選びつつ二人に案内を願い出る。
「まあ、僕はいいんですが…」
ネオは別に依頼を受けることに問題はない。
「困る。それだけは、困る」
問題はバーンのほうであった。
何せ、村からの出入りすら禁じられている状況下で、
さらにこれから北の洞窟へ向かおうという途中である。
今ここで村へ戻ってしまえば、今後、洞窟へ向かうという
目的の達成がさらに難しくなってしまうのは明白であった。
「にしても、お前ら二人、あのキメラどもと太刀打ちできるほどの
 使い手だとは、どうしても思えねえんだが…」
ジェイクの言葉は尤もであった。ネオこそいくらかの呪文が使えるものの、
バーンは全く呪文も使えず、かといって他の技能もない、
物理戦闘についても、キメラの森に至るまでの湿原に居ついた、
スライムなどの相手がいいところ。
「要は、洞窟へ至れればそれでよかったんです。
 洞窟に眠る水晶を取れさえすれば」
答えたのはネオ。その手には杖が光を湛える。
「…なるほど、その杖に宿る、何がしかの力がそれを可能にすると」
シンは察するも、納得しきった表情ではない。


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