「何でよ」
ピエールが駆けつけた時には魔王らしき男は既に倒れていた。
「す、凄い…メリーナ姫、魔王はもう倒せたよ、もうこの城に用はないから早く逃げよう、きっと罠がある」
不満そうな顔をしたメリーナの手を引っ張り、ピエールは城の外を目指す。
「まだトドメ刺してないわよ！！」
「だ、大丈夫だから、ね？さっ王さまに報告だ」
ゴゴゴ…
突如城が揺れだした。
「わわっ、何だ？」
「ピエール何なの？」
そんなこと聞かれても困る。
逃げようにも何故か足が空転して進めない。
コツコツ
「ククッ、愚かな」
その声に振り返ると、魔王らしき男が立っていた。

「痛かったぞ…ピエール！！」
「はぁ…完全に怒っちゃってる」
「やっぱり！！トドメ討たないからよ」
再びメリーナ姫が踏み込む。
「そこまで、姫様は先に城へ行っててください、スラリン頼んだぞ」
「うん」スラリンは頭にメリーナを乗せると、風のように走り去っていった。
「ま、まぁ待て、ここは話合おうじゃないか」
「うるさい！！モンスター達が出ないようにしたのも、魔王のフリをしたのも、お前を信用しての事だった…しかし、なんだあの娘の馬鹿力は！！話と違うじゃないか！！」
しばらく沈黙するピエール。
「しかし姫を帰すにはこの方法が」
「報酬は倍だ！！500000万Ｇだ！！」
道具袋をみつめるピエール。
しかし、何度見ても王様から貰った1000Ｇしか入っていない。