ドラゴンクエスト外伝〜スライムナイト・ピエールの旅〜 34
ジョーの棒読みの質問に、花魔道は一言で答えた。
「ここだ」
「ここって…、おいおい、冗談じゃねえよ」
「ブレッド、どうかしたのか?」
きょとんとしたブレッドの肩をピエールが叩く。
「ここ俺の家なんですが」
「え…?どういうことだ?」
「だから、この家にあると言うのだ」
ピエールの問いに花魔道は答える。
「ちょ!待て!んなはずはない。俺はこの家で16年暮らして来たが全く知らんぞ」
「お前の事情などどうでもいい…、よく聞け、ここに大魔法使いゴレムスの作った、光の木の実が眠っている」
「は?ゴレムスが!?」
「いちいちうるさい奴だ、何だ!」
花魔道が怒鳴ると、ブレッドは口を押さえ首を横に振った。
「この家の奥に樹の絵が飾ってある、その裏にある扉の先へゆけ」
ピエールが頷くと、ブレッドを先頭に皆家の中へ走っていった。
中はこじんまりとして古風な感じだ。
「ブレッドよ、本当に何も知らぬのか?」
「知らねえよ。ゴレムスが大魔法使いって意味分かんねえ」
ジョーの質問に投げやりに答えるブレッド。
そして家の奥に行くと、樹の大きな絵が飾られていた。
「…絵の裏って、この絵の後ろは壁なんだが…」
「隠し扉になってるんじゃない?」
スラリンが言う。
ブレッドは絵をどかし、試しに壁を探る、しかし、隠し扉のようなものはみつからない。
「おかしいと思ったんだ、花魔道はきっと俺達を騙してたんだぜ、リーダー」
「何言ってるんだ、行くよ?」
「へ?」
ピエールとジョーが当たり前の顔をして、壁の中へ吸い込まれるように入って行く。ブレッドも壁に入ろうと試みるが、どうやっても入れない。
「リーダー!ジョーさん!」