「ちょっと行ってみるか」
ピエールはテントに近付いた。
「ん？ひっ！」
ピエールの接近に気付いたその人物は怯えた。敵だと思ったのだろう。
ピエールは慌ててスラリンから降りて挨拶をした。
「驚かせてすまない。俺はピエール。こっちはスラリンだ」
彼の言葉に会わせてスラリンがお辞儀をした。
「あ……う？あ？」
急にモンスターから話しかけられた相手は呆気にとられた顔をしている。暫くしてやっと状況を把握した彼はにっこり笑って手を差し出した。
「いや、すまねぇ。オレはティム。リべル村の者だ」
「リベル村？」
ピエールは聞き返した。
「ああ、サンライト王国の外れにある小さな村さ」
「…でも、何でこんなところに？」
「俺は所謂行商人ってやつだ。だから、商品を売るために村から歩いてきたのさ」
蓄えた髭を撫でながらティムは言った。
「そうですか、モンスターに襲われませんでした？」
「ああ、このサンライトの国はまだそんなでもないからな。ただ、他の国には行きにくくなっちまったな」