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ドラゴンクエスト[〜それから〜
その他リレー小説 - 二次創作

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ドラゴンクエスト[〜それから〜 16

「グワァ!?」
魔法陣から発せられた光は紅い龍を覆い尽くした。そして、渦となって龍ごと陣の中央へ吸い込もうとする。紅い龍は翼を羽ばたかせるも、空しく風が鳴るだけだ。
「ガアアアッ!!」
激しい咆哮と共に、碧の龍が現れ、紅い龍を魔法陣から引き上げた。
「くそ!」
ザフィスが再び陣を組もうと両手を重ねた。空を飛ぶ碧の龍の腕の中で、紅い龍がみるみる内に元の女へと戻っていく。
「油断したわ…。ありがと、ヴァン。」
ヴァンと呼ばれた龍が赤い眼を細めた。
「ちっ、空を飛ばれては魔法陣が使えん…」
ザフィスは碧の龍が去って行くのをただ見送った。ゲルダはヤンガスの事が気になり碧の龍が現れた崖へ走り出す。
「(ヤンガス無事でいて…)」
階段を駆け上がり崖へとたどり着くゲルダ、そこにはボロボロになったヤンガスが座り込んでいた。
「よお、遅かったじゃねぇか…」
ヤンガスは俯く。その肌は青く、ゲルダには何かの呪いにかかったようにみえた。
「どうしたんだい?あんた……。」
ゲルダが彼の肩に手を置くと、苦しそうに呻いた。青い肌はヤンガスの鼓動に合わせて時折強く濃い色になり、ヤンガス全体が一つの心臓になったようだった。
「あのヤロウ、何かしやがったでがすよ。」
青い両手の平に目を落とし、チッと舌打ちする。
「無事か?」
後ろからザフィスが声を掛けた。
「ザフィス…こりゃいたいなんだい?」
腕を組みながら顎でヤンガスを指す。
「心配するな私について来い…」
ザフィスは階段を降り始める、ゲルダは急いでその後を追い掛け彼に問う「本当に治るのか?」と。
「…あれは『龍の呪い』だ、今まで事例はある…治った者はおらんがな…」
「ザフィス!!…あんた心配するなと言ったじゃないか!!」
ゲルダはザフィスの肩を掴んで振り向かせた。
「……落ち着け。彼に聞こえるぞ。」
ゲルダを諭すようにゆっくり話す。それがゲルダには余計に苛立ちを感じさせた。
「それで?この先どうなるんだい、ヤンガスは!」
ザフィスは力の籠もる彼女の手に一瞥くれてから、口を開いた。
「大丈夫だ。皮膚の青さもしばらくしたら消える。ただ……。」
「ただ?」
ゲルダの瞳が凍り付いた。
「今までの記憶を無くすかもしれない。」
「な……んだって?」
ザフィスの目に偽りは見えない。

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