PiPi's World 投稿小説

ドラゴンクエスト[〜それから〜
その他リレー小説 - 二次創作

の最初へ
 15
 17
の最後へ

ドラゴンクエスト[〜それから〜 17

「そんな…ヤンガスが…」
ゲルダは酷く落ち込みその場に座りこんでしまう。
「娘よ、先にも言ったようにこの呪いで治った者はおらん…が、主な症状は記憶がなくなる事ぐらいだ」
必死にゲルダを励まそうとするザフィス、しかし彼のの言葉はゲルダの耳に入らない。突然ゲルダは立ち上がりザフィスを押し倒す。
「あんたなら何か知ってんだろ!!全部話しな!!…」
逆光の中ザフィスの頬に涙が落ちる。
一瞬、ザフィスの瞳が哀しみに揺れた。
「全部…、話しておくれよ!」
しかし彼が瞬きした次の間には、すでにいつもの冷静沈着な表情に戻っていた。
「急くでない。」
ザフィスは肩を強く押さえつけるゲルダの細い手を押し退けた。反動でゲルダがよろめいた。
「おい、大丈夫か。ゲルダ。」
「……ヤンガス。」
ゲルダは溢れる涙を悟られまいと俯いた。そこへ、ザフィスが二人に告げた。
「まずは城に戻って手当をする。話はそれからだ。」
…手当てをし終り3人は椅子に腰をかける。
「ヤンガスよ、よく聞け…お前のかかった呪いはそう簡単に解けるものではない、一度娘と共に家に帰ってはどうだ?呪いを解く準備ができしだい手紙をおくる」
二人の間に沈黙がながれる。
「ヤンガス!!ザフィスさんの言う事が聞けないのかい!!」
いつも以上に声をはるゲルダ。
「でもあっしはアニキを探さないといけないし、故郷にはカンダタがいるでがす…」
「私の所に来な…」
照れくさそうに鼻先をかきながらゲルダが言うと、二人は顔を赤くしながら見つめ合う。
「ゴホンッ、ヤンガスも承知したようだな?このキメラの翼を使え、くれぐれもヤンガスは無理をせぬよう。それから…」
ザフィスはゲルダの耳元でなにやらつぶやく。
「分かった、行くよ?ヤンガス」ゲルダがヤンガスに微笑む。
呪いにかかったヤンガスはなぜか温かい気持になった。
キメラの翼を空に放り上げ、ゲルダの家へと到着した。
「ああ、ゲルダさん。お帰りなせぇ。」
門番が頭を下げた。
「ご苦労だったな。これからコイツを家で預かることになったから、食事は二人分頼む。」
門番はちらりとヤンガスを盗み見、へぇと返事をした。部屋に入り、暖炉に火を入れる。
「少し冷えてきたね。」
窓から見える空は薄暗かった。その晩餐での事。
「なあ、あの龍になった奴ら、『龍の試練の本』がなんとかって言ってたか?」
ひとしきり食べて落ち着いたヤンガスが口を開いた。
「ああ、そんなこと言ってたね。」
椅子を揺らしながらゲルダが答える。
「そんなの知らないってんだよ。」
ヤンガスがふうとため息をついた。
「それがなぁ…。アニキが何か言ってたような気がするんでがす。」
「なんだって!?」
思わずゲルダは声を小さくする。あの三人がどこで聞いているかわからないからだ。
「アンタ、迂闊なことは口にするんじゃないよ!」

SNSでこの小説を紹介

二次創作の他のリレー小説

こちらから小説を探す