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ドラゴンクエスト[〜それから〜
その他リレー小説 - 二次創作

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ドラゴンクエスト[〜それから〜 15

女がにこりと笑った瞬間、杖の先から凍りの刃が飛び出した。
「きゃああっ!」


「ゲルダ!!くそっ、この霧っ!」
ヤンガスが霧に向かって斧を振り回す。
「危ないなぁ。」
すぐ後ろで声がした。
「!!」
これまでラプソーンに至るまで幾度も過酷な戦いを経てきたヤンガスである。そう簡単には背後を取らせない筈だった。しかし、背後にいる彼は口元に微笑みすらたたえている。
「てめぇ…。」
思わず斧を掴む手に、ぎりぎりと力が入る。
「ねぇ、君。さっきの女のコにも聞いたんだけどね、『龍の試練』って本。知らない?」
                      
「知らん」
霧の中、門番と侵入者が対峙する。侵入者は太陽の光さえ消すかのような黒い鎧に、顔を覆い隠す黒い兜。しかし両手には何も持っていなかった。
「そうか『龍の杖』も『龍の試練』も知らぬと言うのだな?」
「そうだ、サザンビーグにそんな物はない。さっさと出て行け」
「…分かった、出て行くとしよう。しかし他の二人は自分でなんとかしてくれ、どうも彼らは暴れ足りないらしい…龍神族は扱いにくいものだな。まぁ君ならできるさ、ザフィス君…」
ザフィス、と呼ばれた門番は驚きで目を見開いた。
「何故、俺の名を…?」
黒い兜の下の眼光が鋭く彼を射る。
「……また会おう。」
漆黒のマントを翻し、彼は歩き去った。ザフィスの武具を握る手が震え出す。
「背を見たというのに、身動きが取れなかった……。」
彼は俯き、ひとりごちた。

「こんのアマ!!」
ゲルダが高く吠えた。帯刀していたナイフを手に取る。素早く女の脇に滑り込む。
「すばしこい奴め。」
ぎょろりと瞳だけがゲルダの方を向いた。一瞬ひるんだが、そのままナイフを両手で構え、下から女の脇腹を刺そうとするが、かすめるだけに終わった。
「ち!」
ゲルダがさっと後ろへ飛び退く。
「ん〜。アマいんだよね、基本的に。」
杖先に丸い小さな金色の球が浮かび上がる。女がゲルダを指さす。
「行け。」
その球体が豪速でゲルダの心臓向けて飛び出した。
「!!」
    ボンッ!!!
突然霧の中から門番が現れ、ゲルダの目の前で金色の球体をかき消す。
「大丈夫か?」
門番のその言葉にゲルダはただ頷くしかなかった。
「ふ〜ん…あんたが噂のザフィスだね?私の魔法を簡単にかき消すなんて…気にくわないね!!」
女が杖を地面に突き刺すと女の体に光が纏いはじめその姿はみるみるうちにドラゴンへと変わる。
光は飛び散り、ザフィスの前に紅いドラゴンが現れた。
「グォォォ!!!」
紅いドラゴンが背中の翼を一振りすると強風がふき霧が消えてゆく。
「愚か者め…霧のなくなった今お前は丸裸だ、足元を見てみよ」
ドラゴンの足元では魔法陣が白い光を放ち、その光はドラゴンの力を吸収していく。

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