機動戦士ザク 2
それにはあの独立戦隊が必要となる。アムロの起点によりオデッサでの核地雷から難を逃れたホワイトベース隊はジャブローへの帰還を急いでいた。後世に置いて“核の嵐”と呼ばれる羽目になる大敗北を喫した連邦軍にとって戦意高揚の手段に使いたいらしい……ブライド艦長はため息を付く。上はジオンと和解どころか停戦する気もないからだ……艦内には核の嵐を免れた残存MSが搭載されている。アムロが乗るガンダムの余剰パーツを組み合わせた陸戦型ガンダムや先行量産型ジムで構成されたモルモット部隊と呼ばれる連中である。
「ブライド艦長」
「ノエル伍長か……すまないな、慣れない戦艦オペレーターをして貰って」
「いえいえ、これ位なら大丈夫です」
陸戦MS部隊のパイロットはノーマルスーツを着ないのが多く、幾多の核地雷は忽ちチェルノブイリ原発周辺の高濃度放射能をオデッサに作ってしまった。対ABC防御が限定的なモルモット隊がWBに拾われなかったら今頃は死んでいるだろう。ブライドにとってもノエルの加入は安心した……何しろルナツーからは正規の士官が少なくなり、殆どが野戦任官と言う現状だからだ。
彼女は優秀でオデッサから離脱した直後にジャブローに問い合わせるとMS戦術論は一級品と言う事だ。
「(あのシャアやラルを蹴散らしたと言う事はあるわね)」
書類やデータでは知っていたがアムロ.レイ本人に会えるとは思いもしなかった。
上官のマッド.ヒューリ中尉も名前は知っていたらしく、アムロ本人を見て驚いた程だ。
「そうか……マルチダが死んだか、彼女とは一緒に仕事をした事がある」
マットが隊長を務める小隊はWBへの補給隊を護衛した事がある。
「僕は守れなかった」
「……少尉、今は落ち込むな」
マットはアムロの肩を軽く叩く。
「隊長、予備のジムなんとか動くようにしました」
MS特殊部隊第三小隊の整備員アニー.ブレビックは回収した陸戦型ジムを修理していた。
「ガンタンクを失ったがこれあって助かりましたね」
「ラリー、コバヤシにアドバイスを頼む」
「了解、敵さんは調子に乗ってますからね」
ラリー.ラドリーはベテラン兵だ。今はWB隊と協力してジャブローへと急ぐしかないのだ。