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何の教訓も意味も無い話
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何の教訓も意味も無い話 3

「なんだ、そうだったのか。わっはっは!!」

ヤブ医者に騙された自分たちの愚かさを棚に上げ、男たちは笑い合いました。
その後、男たちは西の国に行って自分たちの不具の身体をさらして物乞いになって暮らしましたとさ。
例え愚かであっても鈍感さ、図太さを持って集団で事に当たれば世の中なんとかなるという有難いお話です。

お し ま い


【可哀想な姉妹の話】

ここはとある小さな村。
この国は大変貧しくて、皆が僅かな食料を奪い合って生活していました。
どこの土地もひどく痩せて荒れた大地が広がっており、人々は自分たちの住む村の周囲に高い城壁を作り、その中で畑を耕し種を撒き、かろうじて生きていたのです。

ある時、そこに旅の姉妹がやってきました。
二人は疫病で両親を亡くし、住む場所を失って彷徨っていたのです。
姉は城壁にある扉を叩いて叫びました。
「誰だ?!」と門番が叫びます。

「身寄りも行くあてもない者です。ここ3日、何も食べていません。お願いです、中に入れてください」
「駄目だ駄目だ! 西の方で疫病が流行っているという噂を聞いているぞ! お前たちもそこから来たんだろう。お前たちを入れると、この村でも疫病が流行るかもしれない」
「そこをなんとかお願いします。私たち、疲れきってもう歩けません」
「ふぅむ。だがお前たちを勝手に中に入れると俺が後で怒られるんだ。じゃあ、村外れにある物置小屋を貸してやる。そこで勝手に休むだけなら黙って見て見ぬふりをしてやる」
「そ、そんな…」

文字通り、門前払いです。
姉妹は仕方なしにボロな物置小屋の干し草の上に身を横たえました。
食べ物がないので、僅かな草や木の根っこをかじって飢えをしのぎます。
やがて姉妹のことは村の男たちの噂になりました。
やせ衰えてやつれているとはいえ、姉妹はとても美しかったのです。
その中に命知らずで助平な男がおりました。
男は僅かな食べ物を持ち出すと、城壁を乗り越えて姉妹の暮らす物置小屋へと忍んで行ったのです。

「ほうれ、食い物を持ってきてやったぜ」
「ありがとうございます。なんてお優しい方でしょう」
「おっと、ただで渡すわけにはいかねぇ。あんたらにも俺に差し出すものがあるだろう?」
「あいにく何も持ち合わせがありませんの。何か差し上げられるものがあるといいのですが…」
「そこにしっかりあるじゃねぇか。俺が欲しいのは、あんたらのカラダだよ。ほれ、食物が欲しかったらさっさと脱ぎな!」
「……………」

姉妹はお互い顔を見合わせました。
背に腹は代えられません。姉妹は仕方なく男に身体を許したのです。
それ以来、男はちょこちょこと姉妹の住む小屋に忍んで行っては食べ物を渡し、その身体を弄ぶようになったのです。

やがてその噂は村の男たちにも伝わりました。
姉妹のもとに熱心に通う男が疫病にもかからずピンピンしているのを見て、我も我もと通うようになったのです。
姉妹の住む小屋は、いつしか娼館のようになってしまいました。
かろうじて暮らしてゆくことが出来るので、姉妹もその惨めな生活をあまんじて受け入れました。

ところが、そんな日々も長くは続きませんでした。
荒んだ生活に身体を壊して妹が病気になってしまったのです。
姉は妹を養うために今まで以上に働きました。
しかし悪いことには悪いことが重なるものです。
ある日、ひどく酔った男が数人現れ、姉にさんざんタダ乗りした挙句、絞め殺してしまったのです。

悲しんだのは妹です。
非道な仕打ちをし続けた村人への復讐を誓いました。
しかし病んで痩せ衰えた自分の身体では何もすることが出来ません。
そこへ偶然、1人の旅の騎士がやって来ました。

「お願いです。騎士様、私の話を聞いて下さい」
「どうした娘よ」
「城壁の向こうに住む村人たちは私と姉を中に入れてくれないばかりか、酔って乱暴した挙句、姉を殺したのです! どうか私に代わって姉の仇を討って下さい」
「聞けば哀れな話だな。村人たちを殺せというのか。しかし何の報酬もなしに命を賭けるわけにはいかん」
「私の身体を差し上げます。なんなりとお好きなようにして下さい」
「よしわかった。好きにして良いのだな?」

立ち上がった騎士は、妹の首をはねてしまいました。
妹の身体は鍋に入れられ、ぐつぐつ煮られた末に食べられてしましたとさ。

お し ま い

※昔、こういう内容の夢を見たので書いてみました。



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