PiPi's World 投稿小説

マジカルガールロンリーボーイ
その他リレー小説 - その他

の最初へ
 60
 62
の最後へ

マジカルガールロンリーボーイ 62

目が熱くなり、私はポロポロと涙をこぼしていた。
それに気付いたのか少女は紫電を出すことをやめ、私に心配そうに近付いてきた。
「お、お姉ちゃん…!?どうしたの?どこか痛いの?」
「ううん…ぐすっ、ごめん…ぁ、なんでも、ないから」
止まらない。
いくら涙を拭っても止まらない。
どうして、私はこの少女のようになれなかったのだろう。
どうして、私は母のようになれなかったのだろう。
惨めさだけが背後にべったりと張り付いて離れない。
「できるよ!」
突然、少女は声を張り上げた。
「お姉ちゃんにもできる。だって、雅はお姉ちゃんなのだから」
「え……?」
「お姉ちゃん…ううん、私。昔を思い出して。まだお母さんが生きていた頃の自分の魔法を」
「お母さんが、生きていた頃の自分の魔法」
「そう。貴女はできていたはず。でもお母さんが亡くなってから、貴女は紫電を出さなくなった。紫電を見るとお母さんを思い出してしまうからって出さなくなったの。それが良くなかった。それが貴女の魔法を劣化させた。そしてまだ貴女はそれを引きずっていて、紫電を出すことを躊躇している」
私が、紫電を出すことを躊躇っている…?
「さぁ、もう目を覚まして?そして思い出して。自分の魔法を」

「自分の……魔法……?」
「そう。あの朝霧静夢が自分の魔法を取り戻したかのように。貴女の魔法も封印されている。その封印を解いて、取り戻して!」
封印…?私の魔法が?
「頑張ってね私。貴女の魔法は世界を変えることができる」
最後の彼女は笑顔だった。
私の意識はそこで覚醒する。
目の前には、暑苦しいオッサンがいた。


episode 28
「Lightning of Amethyst -ミヤビノマホウ-」


「うわ、きも」
「……大丈夫そうね」
目の前のオッサン、もとい綺羅綺羅世界ことワンちゃんはいたく傷付いたのか、ただでさえ気持ち悪い顔を更に歪ませた。
「んもう!雅ちゃん、本当に大丈夫!?」
「大丈夫よ、なにもされてないわ」
「身体のことを言ってるんじゃなくて、精神(こころ)のほうを言ってるの」
「……まぁ、こうして話す程度なら」
「魔力、ほとんど無くて辛いのもあるだろうけど、なにか辛いことを玩具箱に言われたのでしょう?」
……本当にこの人は心を見透かしてくる。
「雅ちゃん、今、玩具箱は執行者のリルカ・ナインスが時間を稼いでる。貴女は魔法世界に戻りなさい。どの道その魔力じゃ戦えないわ」
「リルカさんは玩具箱に勝てるの?」
「…リルカちゃんは強いわ。大丈夫よ」
「質問の答えになってない。ねぇワンちゃん、私を守るために誰かが傷付くのはもう嫌なの」
それは、「彼」とまったく同じ言葉。
結局、詰まるところ似た者同士だったのだ。
私と「彼」は。
ワンちゃんはゆっくり目を閉じてこう言った。
「それを聞いて、貴女はどうするの?助けに行くつもり?冗談じゃない、足手まといになるだけよ。他人の心配をするよりも、自分の心配をしなさい」
それってもう…リルカさんが負けるって言ってるようなもんじゃない…!
グッと足になけなしの魔力を込める、が、それはすぐに霧散した。
「ワンダフル。行かせないわ」
魔力を消されたのだ。
そしてガシッと前から抱きしめられる。
「このっ!セクハラだっつの!」
ワンちゃんのお腹に魔力を込めたパンチをする。
これでも魔力による防御をしてないとかなり痛いはずなのに、ワンちゃんは離そうとはしなかった。
「く…離さない。行かせないわ!」
「…っ…やなの!私だけまた何も出来ないっ…!守られてばっかりで、他の人が傷付くばっかりでっ…いつもっ…いつもっ…!!」
何度も殴ってるのに、もう肋骨も折れてるはずなのにワンちゃんは離してくれなかった。

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す