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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 2

そして何かが焼き焦げた臭いがして、やっと僕はそれが落雷だと知った。
どうせなら僕に落ちてきて欲しかったところだが、そう上手くいかずただただ自然の脅威を死ぬ間際に体感したのだった。
ようやく目を開け、耳が聞こえるようになった。
「あーっ…しまったなー。落ちる場所を間違えちゃったじゃない…。絶対、今日寝違えたせいだわ…首痛いし…」
と女性の声がした。
こんな場所に?ありえない。というか落ちる場所を間違えたって何だ?
声の方向を見る。落雷があったであろう場所に彼女は立っていた。
彼女はパチパチと紫電を纏わせ、悠然とそこに立っていた。
僕はその電光があまりに綺麗過ぎて、腰を抜かしたまま不思議と見つめ続けてしまったのだ。
「もう間違わないようにしないと……ん…?」
目と目が合った。
雷を纏う彼女と腰を抜かした僕が。
「あーーーーーっ!!!」
彼女の声が響きわたった。



episode 2
「contract -ケイヤク-」


「あーーーーーっ!!!」
彼女の声が響きわたった。
どうやら僕に見られたのがマズかったらしい。
「ちっ…」
彼女と僕の距離は10mほど離れているのにも関わらず舌打ちが聞こえた。
同時に彼女の姿は紫色に揺らめき、その場から一瞬で消えると僕の目の前に小さな落雷が落ちたかのように現れた。
「…見てたでしょ?」
彼女の機嫌に同調しているのか、彼女が纏う紫電は一気に活性的になり、バチバチッとやかましい音で騒ぎ始めた。
僕は日常からあまりにもかけ離れた光景に、ただ腰を抜かしていた。
「…残念ね。見られたからには口封じしなきゃいけない掟なの」
突如、空が曇る。
あんなに星が見えていた空が僕達の真上だけ曇っていく。
今にも雷が落ちてきそうだった。
しかし、それよりもまず目が奪われたのは、彼女の纏う紫電があまりにも美しかった。
あんなに光り輝く紫色を僕は見たことがない。
「綺麗だ」
「へ…………?」
死ぬ間際なのかもしれない。
でもそんなことすら忘れてしまうくらい美しい光景だった。
「な…なによ、いきなり。褒めても…殺してあげるのは変わらないんだからっ…」
「うん…でも、とても綺麗だ。僕は今から死ぬだろうけど、こんなに綺麗な―
「う、うるさいっ…!そんなこと…言われたことないから……恥ずかしいわよ……」
プイッと彼女は赤く染まった顔を逸らした。
あ、マズい。
この反応はなにかとてもいけない勘違いをしてるみたいだ。
「あ…ごめん。えーと…そういうわけじゃなくて……」
「じゃあ…どういうわけなのよ…?」

「え………と…綺麗なのは貴女じゃなくて雷のほうでして…」

あ、ヤバい。
思わず本音を言ってしまった。

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