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GENIUS
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GENIUS 5

「それはまたご苦労様。なるほど…『幸運の天才』ね…?ふむふむ…分かったわ?無色くんは冬木さんの周りで起きた事故、災害、事件を調査して。死神ちゃんは私にお茶と煎餅を」
「自分でやってください」
と言い自室へと向かう死神ちゃん。
かっこいいなぁ。
「調べるのはいいですけど……何か引っ掛かることでもあったのですか?」
「ん…?あー…ま、調べたら分かるかも」
そう言い、バリッと煎餅を食べる神子さんだった。


5年前のジャンボ機墜落事故。
死者何百人を出した悪夢のような事故。
その中でも1人だけ無傷で助かった小学生がいた。
当時ニュースでは「奇跡の子」とまで呼ばれた女の子は、墜落時のショックのため精神科医のカウンセリングを受けている、とだけで顔がTVに映ることはなかった。
墜落事故が起きてからレスキュー隊が現場に向かったところ、その場所は地獄絵図だったという。
燃料に引火し、山火事によりあたりは炎と煙だらけ。
無残にもジャンボ機はくの字に曲がっており、その隙間から人が投げ出されたことは容易に想像できる。
どこを見ても死体。
山火事による焼死体や煙による中毒死体。
飛行機から投げ出され、木の枝に刺さっている死体もいれば、飛行機の中で全身がおかしい方向に曲がっている死体など。
全ての死体からも墜落による激しい衝撃が見てとれる。
ただその中で1人だけ生きていた人間がいた。
冬木かえで。
まだ小学生だった彼女は安らかな顔でシートに座り、気を失っていたという。
シートベルトは装着されていなかったという報告もある。
また、彼女の1メートル前には鋭い木の枝が飛び出しており、運悪く彼女の両親が横に串刺しになっていたという。
また彼女の隣りの席には老婆が座っていたことが乗客名簿により記載されているが、その老婆の姿は無く、後に焼死体として山中で見つかったらしい。
まさに冬木かえでが座っていたシートだけがこの悪夢のような事故の唯一の
「セーフティスポットであった……か…」
パタンと昔の記事を閉じる。
冬木かえでは何故かマスコミと1回も出会わなかったらしい。
つまり、この記事はレスキュー隊員の話を元に作られている。
また彼女が話していた銀行強盗や学校での火事というのも、全員では無いが死傷者が出ている。
それも決して少ないとは言えない数だ。
言うならば「悪夢のような事故、事件、災害」というものに彼女は必ず関わっており、結果…無傷生存という形で今に至っている。
「凡才の俺なら必ず死んでるな…」
「んー…?無色くん、何か言った?」
「あ…いえ、凄いっすよ彼女」
「何が?」
「必ず事件、事故、災害に関わっており、必ず無傷で助かっています」
「で?彼女は今まで何回助かったの?」
「ニュースにならないような小さいのは分かりませんが…分かるだけで10回くらいです」

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