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GENIUS
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GENIUS 31

もう…何も出来ないのだろうか。
「無色くんを『天才』にしなさいっ!」
声のほうへと振り向くと生神神子がいた。
眼鏡を…掛けてない?
「方法はそれしかないわっ!早くっ!」
それは、俺が助かった時と同じ展開。
「いや…でもっ…!」
『天才』は孤独の始まりだ。
その苦しみをサイキにさせるのか…俺は。
「生き延びる方法をそれしか『発見』できないの!迷ってたらその方法もダメになるのよ!!あぁ…後10秒でそれもダメになるっ…!」
迷ってる暇はないのか!
俺は言われるがまま告げる。
「9」
「くそっ…恨むならあの女を恨めよサイキっ…!!」
「7…って私っ…!?…6!」
「ちくしょう!どうにでもなれっ!」
「4…3…!」
頼むぜ俺の『天才』。
ここだけはしっかり仕事しろよ?
「『サイキ、『天才』になれぇぇぇ!!!!』」
サイキの震えが止まった。



うっすらと目を開ける。
ここは、まだ工場内。
そうか…まだ生きていたのか。
ツバキがなんとかしてくれっ…!!
違和感が身体を走る。
痛くはないんだけど、身体をグニャグニャと混ぜられている気分だ。
身体の全ての細胞が、変わる……みたいな。
「無色くんっ!大丈夫!?」
この声は神子さん…?
目の焦点を合わせ、神子さんを見る。
すると、俺の視界が文字で埋まった。
「ぐっ…!」
なんだこれは…まるで眼球に文字が書かれたかのように次々と文字が浮かぶ。
しかもこれは…?
『生神神子』
『29歳』
『身長170p』
『体重53s』
『B:87、W:58、H:86』
『発見の天才』
神子さんの……ステータス?
「無色くんっ、どうしっ…その『天才』は…………やめなさいっ、私から意識を逸らしなさいっ…!!というか『発見』しないでっ…!!」
意識を逸らす?
神子さんから目を逸らし、何もないコンクリートを見る。
視界に浮かぶ文字が……治まった。
しかし、今のは…もしかして…『発見の天才』なのではなかろうか。
「神子さん……さっきのって…」
「うん…同じ『天才』がかぶるなんて思わなかっ…あれ?」
神子さんは不思議そうに首をひねる。
「無色くん…が、『天才』じゃなくなってる……」
とことん意味不明になってきた。
まだ不安定なのだろうか。
「………おい、何勝手なことしてんだ?」
今まで黙っていたツバキが口を挟む。
「……何、死のうとしてんだよ」
凄い形相で睨むツバキ。
「……無色くん、色筆くんが無色くんのことをっ」
「『黙れっ!』」
一喝。
「んーっ…!?」
神子さんは声を失う。
ツバキは俺の胸ぐらを掴んだ。
「何勝手に死のうとしてんだよ!!」
その目には涙を流した後が見て取れる。
必死に俺を蘇生させてくれた、と神子さんは言いたかったのではないか。
「それは…信じてたから」
「ふざけんなよっ…なんでまだ俺を信じられるんだよっ!!」
そんなの、決まっている。

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