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GENIUS
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GENIUS 32

俺はできるだけ優しい声で言った。
「『俺達は友達だからだ』」
その言葉は『必然』をもっていた。
こうして俺達は友達に戻った。



あの騒動から1週間が経った。
結果的に俺達は友達に戻り、何事もなかったかのように過ごしている。
相変わらずツバキは『O』、俺は天才事務所。
ツバキはもともと脱走してからは俺に会うことしか考えておらず、犠牲者なんて出てないから処分は軽く済んだ。
というか神子さんがもみ消してくれた。
本当にそろそろこの人は捕まるんじゃないかと思ってしまう。
「何…無色くん、見ないでくれる?」
「今日の下着は赤ですか、神子さん?勝負?」
「私のプライバシーを返してっ!変態っ!」
神子さんに視線を向けると、俺は『発見の天才』になる。
「……無色くん…」
「ん?」
「…これ消してみて?」
「え?『イレイズ』?」
「………凄い…」
俺は死神ちゃんとなら『消去の天才』にもなれる。
そしてもちろん、ツバキの前では『必然の天才』になれる。
このなんとも不可思議な能力を、神子さんは『対等の天才』と言った。
自分が今、意識している人と『対等』な能力になるらしい。
つまり同じ『天才』になる。
おかげで、知らず知らずに今考えると恥ずかしい友達宣言を『必然』にし、友達に戻れたのである。
しかしこの能力は不便である。
『発見』は神子さんにしか使えないし、『消去』も『必然』も死神ちゃんやツバキがいないと使えない。
恋さんは怖いから論外で。
部屋に1人きりだといつも通りの凡才である。
そりゃ『発見』で神子さんのプライバシーを汚すことはできるが、あまり楽しくないし、最近すごく嫌われてしまった。
ツバキに関しては
「なんでサイキも『必然』が使えんのに、俺だけ『異常』なんだよ」
などとブツブツ言う始末である。
しかしまぁ、昔のような笑顔が戻ったので良しとした。
そんな今日は神子さんの誕生日である。



あの時に買ったガラスのマグカップを神子さんに渡すと
「ふーん…無色くんみたい」
とポツリと言った。
「このマグカップ、透明じゃない?つまり色が無いのよ。そこにコーヒーが入ると黒になる。コーヒーは黒だから、マグカップも黒になるのは当然。無色くんも他の人の『能力』次第で変わってるからね?無色なのにカラーバリエーションが豊富というか、色のデパートというか」
なんて言いながら、割と気に入ったのか毎日そのマグカップでコーヒーを飲んでいる。
死神ちゃんもその光景をみて嬉しそうだった。



エピローグ



君は『天才』という言葉を知っている?
という質問をすると多くの人が『知ってる』と答えるだろう。
だがそれは『天才』と会ったことがあるとは言えない。
実際の『天才』はその能力ゆえに孤独や苦悩がつきものである。
『凡才』が『天才』を嫉妬しているのと同じように、『天才』も『凡才』を嫉妬しているのだ。
しかし辛いことばかりではない。

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