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GENIUS
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GENIUS 29

それは『必然』なんだから。
「残念だ。『O』と『E』には大きな差がある。俺にはな『消去』も『死去』も簡単なんだよ」
「……自慢に…聞こえませんね…」
「あぁ…俺はこの能力が嫌いだからな。まぁそろそろ無色が来る。お前らは邪魔だ」
2人を見つめ、口にする。
「『2人とも……眠れ』」
2人の体が卒倒する。
せめて……穏やかな眠りを。
目覚めた時には……終わってる。

「………色筆っ!!!!」
「………無色っ!!!!」

ついに俺達は出会ってしまった。



ぶな工場跡地に着く。
錆び付いている扉を開ければ、真っ暗な空間に穴が空いた屋根から光がスポットライトのように降り注ぐ。
その中心に、彼はいた。
「色筆っ…!!!!」
「無色っ…!!!!」
ようやく、こうして対峙する。
「久しぶりだな無色…いつも通り凡才か?」
「うるさい、異常天才。死神ちゃんと恋さんはどこだ?」
「ちっ……そこで寝てる。うるさいから寝かせた。それに…邪魔されたくないだろう?」
2人は見ため傷がない。
それに穏やかな顔だった。
色筆が言うようにただ眠っているだけだろう。
「確かに、邪魔といえば邪魔かな…」
「ふ…言うようになったなぁ…!」
色筆はあんなに汚い笑顔だっただろうか。
昔はもっと…子供のような笑顔だったはずだ。
「…色筆、なにがあった?」
「分からん。教えてくれよ、無色。昔とはまるっきり見える景色が違う。俺は…こんな能力はいらなかった」
彼は悲しそうに、彼自身の能力を拒んだ。
『天才』の能力は外側には強いが、内側にはめっぽう弱いのである。
例えばの話、死神ちゃんは他人の能力を『消す』ことはできても、自分の『消去の天才』を『消す』ことはできない。
『天才』というものに自我なんてないが、自身の能力を脅かすようなことはできないらしい。
そう考えると、彼はどれほど彼の能力で『必然の天才』を消そうと思ったか。
毎日、毎日……自分を消そうとしては落胆する日々。
そんな奴の景色が凡才である俺に分かるはずがない。
「分からねーよ。お前の景色なんて……俺は凡才だからな」
「そうだよ…な。なぁ…俺らはいつから壊れ始めた?」
「高校1年の時…お前と俺が離れた時からだ」
「ちっ…違うぜ、無色。俺が……お前から離れてからだ」
色筆は明確に自分から俺と離れたという。
「お前と俺はくっつき過ぎた。だから…俺はあえて離れた」
彼はこちらに向かって歩きながらそう言う。
「うんざりだったんだ…お前という存在が」
その笑顔が…嘘という仮面に塗りつぶされていた。
「だから…お前のことなんか…」
「もう…いい」
気づいたら、思い切り色筆を殴っていた。
「っ……いってーな」
「そんな嘘はもういい…もういいんだ…ツバキ…」
「その名前で呼ぶな…もう友達でもなんでもねーんだから」
それも…嘘。

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