PiPi's World 投稿小説

GENIUS
その他リレー小説 - その他

の最初へ
 21
 23
の最後へ

GENIUS 23

こんなにボロボロの俺達に悪魔が囁いた。
「イロちゃんがこの薬をキメてよ、更にサイキ君に向かって友達じゃねぇとか言ったら、サイキ君は許してやるよ」
「分かった」
ツバキは即答した。
「…っ……や、め…」
そして俺に一瞬笑ってから、注射器を腕に射した。
「っ…これで…ぁぐっ…!!」
途端、ツバキが苦しみ始める。
「マジでやりやがった!ぎゃはははは!ほら…言うことがあんだろっ!」
「ぐ…ぁっ……っ…ふ…」
全身から汗を出しながらも、こっちを見る。
「ツバキっ…!」
立ち上がれっ…立ち上がれっ……ツバキが今、目の前で苦しそうにっ…してるのにっ…!!
「…っ…サイ、キっ…」
「喋るなっ…もう…頼むっ……」
手を伸ばす。
俺の手がツバキに触れる刹那…
「『俺はお前と友達じゃない』」
友達じゃなくなった。
「マジで言いやがった!許してやるよ、サイキ君はよ!だけどイロちゃん……お前はもう終わりだ。精神病院行き決定♪」
「『お前ら…黙れ。そして…死ね』」
「なに言っ……!?…………!!!!」
悪い連中の奴等は……全員黙り、注射器を自らに射した。
1人、また1人と倒れていく光景は異様だった。
そして最後に…
「『ごめん…』」
と言って、ツバキも倒れた。



気がつくと、病院のベッドで寝ていた。
「おはよう♪」
声が掛けられる。
「……誰…ですか?」
「私は池上神子。そしてここは私の病院、池上病院。大丈夫?気分悪くない?」
「…はい………」
「足の骨と肋骨が折れてました。他にも小さい生傷がたくさんあったから。しばらく入院ね?それにしても才気さんは逆に良かったね?薬をやってなくて」
薬……?
徐々に記憶が鮮明になっていく。
彼はどうなったのだろう。
「先生…椿貴色筆は……?」
「………椿貴さんは…いえ、椿貴さんだけ助かりました。他の人はみんな亡くなりました」
「そう…ですか…」
安堵する。
他の奴等になんて1つも感情を浮かばなかった。
「…ただ……椿貴さんは症状が深刻なので…しばらく会えません」
「そう…ですか…」
生きていれば……いい。
「才気さんは……彼を助けたいのかしら?」
「え………」
そう言われて…ふと言葉が詰まってしまった。
「もちろん…俺と彼は…と……」
友達……じゃない。
なんだろう。
友達だったはず。
一番の友達だったはず。
でも…なんだろう。
もう友達じゃない……。
「いえ…はい…」
「………悲しい、運命…なのかもね」
「え………?」
先生がポツリと言う。
「……あなた…私のところで働かない?」
「え…何を言って…」
「見つけちゃったんだから仕方ないじゃない。私のところで働きなさい。そうすれば……彼に会えるわ?」
先生が何を言っているのか分からなかった。
分からなかったけど、真剣な表情だったから…俺は選んだ。

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す