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GENIUS
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GENIUS 3

「えっと…ずいぶんお若い所長さんなのですね…?」
「あ…いえ、こちらは所長の娘です。まぁアルバイトみたいなもんで…本物は事務所でお留守番しています」
「はぁ……そうなのですか…」
というか死神ちゃんが16歳に見えないくらい堂々としているのが疑問である。
俺なんかいつも必死だ。
「では…お話というのをお聞きしましょうか、冬木かえで(フユキカエデ)さん?」
彼女は真剣な顔をしてこう言った。
「その前に注文してもいいでしょうか…私、お腹ペコペコで…」

きっと育ち盛りなのである。
俺と死神ちゃんはドリンクバーのコーヒーしか飲んでないのに、冬木さんの注文だけでテーブルが埋まってしまった。
更に言うと、何故か冬木さんが注文をしていないデザートまで運ばれ、注文してないことを伝えると捨てると言われたので無料で何品か食べている。
「デザートはあえて頼まなかったのですが……ラッキーですね…」
食いしん坊キャラ決定だこれ。
「はぐ…んっ…お二人は何か注文なさらないのですか?」
注文したって料理を置くスペースが無い。
「死神ちゃんは?何か食べる?」
「…いえ、私はお財布を忘れてきてしまったので、ドリンクバー分の小銭しかなくて……無色くんこそどうですか?」
「いや、ほら……500円しかないから…」
悲しい現実だった。
「私もお財布もってません…はぐはぐ…」
「「は…!?」」
おぉ、死神ちゃんが動揺した。
「いや…これっ…どうするんですかっ…!?」
「大丈夫ですよ…はぐはぐ…なんとかなります…はぐはぐ」
説得力が全く無かった。

「ふぅ、ご馳走さまでした。本題に入りましょうか」
「そうですね…まずはどうやってこのファミレスから出るか…」
「それは…なんとかなります」
「なんとかって……」
この冬木かえでという人間は結構楽観的な考えの持ち主のようだ。
俺なんてどうしようか考えてるし、死神ちゃんにいたっては何を考えているのか分からない。
「まぁ助けが来ることを祈って本題に移ります。生神天才事務所では『天才』に関してはなんでも屋です。冬木さんは何故、お電話を…?」
「はい………私、昔から運が良い…と言われています」
「運がいい…?」
「えぇ、ジャンケンでは負けたことありませんし、棒付きアイスの当たりも外れたことありません」
「それはまた…羨ましいですね…」
「こういうのはまだ可愛くていいのですが…才気さんは5年前のジャンボ機墜落事件を覚えていますか?」
「えーと…確かに何百人も死んで、唯一1人だけ…無傷で助かった人…が……」
「私です」
「なっ…本当ですか?」
「はい。調べてもらえれば分かりますが、私です」
5年前、今世紀最悪の事故と呼ばれたジャンボ機墜落事故。
5年経過した今でも原因が分かっておらず、標高が高い山に墜落したせいもあるのか、何百人という犠牲者を生んだ。

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