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GENIUS
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GENIUS 19

『E』の部屋内で何が起こったのか分からないが、部屋はまるで引っ越しをしてしまったかのようにガランとしていて、小森もみじは倒れていた。
神子さんが言うには、もう『天才』では無いらしい。
そうなると死神ちゃんが消したということになるのだが、普通に無傷で『E』から出てきた死神ちゃんは
「……覚えていません。帰ります」
とか言って、いち早く事務所に帰っていってしまった。
小森もみじは自身の力で立つこともできず、言うならば全身から負けのオーラが出ていた。
ワンサイドゲーム。
死神ちゃんの圧勝。
死神の名は伊達じゃない。
「神子さん…」
「んー、なにー?」
「どうして死神ちゃんは記憶が無いんですか?」
「トラウマでしょ?それで一時的に記憶が無くなるのかもね?」
「トラウマ?…それって…昔のことですよね?」
「とりあえず、私が親になってからは無いと思うわよ?」
「………やはり…お父さんのこと…でしょうか?」
神子さんは頭を横に振る。
「まったく無色くんは本当に鈍チンね?恋の話…ちゃんと聞いてた?」
「聞いてましたよ!!死神ちゃんのお父さんと、お父さんの連れを『消した』んですよね?」
「恋は本当に死神ちゃんが『消した』か分からない…って言ってなかった?」
「あ………」
「きっと死神ちゃんにも分からない。だって記憶が『無い』んだから。だから死神ちゃんは恋と戦ったことも忘れてる。無意識に記憶を『消して』しまうんじゃないかしら?」
「無意識に記憶を…」
彼女は『消去の天才』だ。
嫌な思い出なら、自ら『消して』しまえる。
もしかしたら、昔の思い出を思い出してしまった時には自動で記憶が『消去』されるように無意識化にプログラムされているのかもしれない。
『あいうえお』の元『E』の住人。
『消去の天才』生神死神。
『消去』という鎌を振り降ろす彼女の姿は、間違いなく死神だった。



第零章 『B.E.』


-beginning-

俺…いや、僕、才気無色は小学生の時、いじめられっ子だった。
頭脳普通。
運動普通。
成績普通。
パッとしない小学生で、大人しい子供だった。
顔見知りで、友達なんていない。
休み時間も机でジッとしていて、給食もいつも少し残し、放課後は真っ直ぐ自分の家に帰る。
いつしか僕はいじめられるようになった。
「無色、なんで学校来てんの?」
「無色、また給食残してるぜ?」
「無色、気味悪いから近寄るなよ?」
抗う方法も知らない僕は、ただただコクリと頷くだけだった。

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