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GENIUS
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GENIUS 14

二重になっている重苦しい鉄のドアを開ける。
一番最初に迎えてくれる恋さんが……いない。
『あいうえお』が異常な空気に包まれている。
その中、死神ちゃんはカツカツと、まるで恐怖なんて知らないかのように歩き始める。
「ちょ…死神ちゃん、まわりを注意しながらっ!」
「…分かっています」
今、おそらくこの『あいうえお』の中にいるのは俺と死神ちゃんを除いて5人。
『I』『U』『O』の3人。
恋さん。
そして、新しい子…。
もしかしたら神子さんもいて、6人。
今まで平穏に異常だった『あいうえお』を狂わしたのはおそらく、新しい子が入ったからである。
ということは…『E』か…。
『A』『I』『U』へと続く廊下を通り過ぎる。
そして『E』へと続く廊下に差し掛かる。
「……行きましょう」
「死神ちゃん……いいのか?死神ちゃんにとっては…もっとも帰りたくない場所なんじゃ…?」
「…大丈夫です」
またカツカツと『E』へと突き進む。
『E』のドアを開く。
そこには目隠しにさるぐつわ、手足を椅子に縛られて座っている神子さんと恋さんがいた。
そして彼女がゆっくりとこちらに振り向く。
「来た来た…待ってたよん?無色くんと死神ちゃん…♪」
彼女は満面な笑顔で俺達の見つめた。
「自己紹介するねん?私の名前は…
「……いいです」
彼女が名乗り出ようとするところに死神ちゃんが制止する。
「はれ?どうしてん?」
「イレイズ」
少しも余地なんて無かった。
ただひたすら非常に無情に言い放った。
「無駄だよん?」
しかし彼女は『消えなかった』。
初めてのことである。
死神ちゃんが『消せないモノ』に出会うのは。
「おー怖い怖い♪確か『消去の天才』だよねん?なんでも『消せる』なんて大変な『天才』だよねん♪」
まるで、何も無かったかのように彼女は話を続けた。
「まぁ…私には意味が無いのが残念♪その点、無色くんは『天才』も何も無いらしいから好きよん?」
「意味が無い…とは、どんなことだ…」
「せっかく自己紹介をして意味が無いことを教えてあげようと思っていたのに、途中で止められちゃったんだから♪」
死神ちゃんはただただ彼女を睨む。
死神ちゃんにとっては正に天敵が現れたのだった。
「私は『防衛の天才』、小森もみじ(コモリモミジ)。よろしくねん♪」
「『防衛の天才』…?さっきのは死神ちゃんの『消去』を『防衛』した…のか?」
「そうねん♪私は『守る』ことに関しては誰にも負けない自信があるのん♪だから、この神子さんっていう人から死神ちゃんが『消去の天才』と聞いていたから、私と私の『天才』だけは『消せない』ように、天文学的な数の『防衛』を重ねさせてもらったよん?」
小森もみじが神子さんの頭を撫でる。
きっとそれは死神ちゃんに関する情報を提供したからだろう。

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