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GENIUS
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GENIUS 12




お父さんとお母さんが喧嘩をしている。
お父さんがお母さんを叩いて、お母さんはたくさん泣いている。
お母さんが可哀相だった。
私は部屋の隅で座っていることしか出来なかった。
ある日、お母さんはお家にいなかった。
お父さんに聞くと、もう当分会えないって言われた。
とても悲しかった。
その日からお父さんとの生活が始まった。
お父さんはずっと家にいてくれた。
だから寂しくない。
でも、日に日にお父さんは機嫌が悪くなっていった。
どうしてだろう。
ある日、初めてお父さんに叩かれた。
痛い。
どうしてだろう?
何も悪いことしてないつもりだったのに。
もしかしたら悪いことしていたかもしれない。
気をつけよう。
次の日も叩かれた。
とても痛くて泣いてしまった。
するとまた叩かれた。
泣いちゃいけない。
でも最初に叩かれたのはどうしてだろう?
次の日も、その次の日も叩かれた。
また私がなにかしちゃったんだ。
気をつけよう。
ある日、気付いてしまった。
お父さんが怖い目をしていた。
お母さんがいる時は優しい目をしていたのに。
お母さん、早く帰ってこないかな。
お母さんのことを思い出すと泣きそうになった。
我慢だ。
ある日、お父さんが男の人を連れてきた。
裸になりなさいと言われた。
裸になった。
布団に寝なさいと言われた。
布団に寝た。
男の人は、私を見て、嫌な感じで笑った。
助けて欲しくてお父さんを見ると、お父さんも嫌な感じで笑っていた。
怖い。
初めて怖いと思って、逃げようとした。
でも、捕まった。
叩かれた。
男の人の手が私に伸びてきた。
嫌。嫌。
『消えろ』。
心からそう思った。
男の人がいなくなっていた。
あぁ、なんだ。
簡単なことなんだ。
ただ、そう思えばいいんだ。
もう怖くない。
試しに何か『消して』みよう。
TVを『消す』のは勿体ないから、ビデオテープを『消そう』。
心の中で『消えろ』と叫ぶ。
ビデオテープが『消えた』。
こんなに愉快な事は久しぶりだ。
お母さんと一緒にお買い物に行く以来だ。
ふと、周りを見ると、そこにはお父さんがいた。
お父さんの顔が青い。
どうしたのかな。
そういえば。
「『ずっと前からお父さんがいなくなればいいと思っていたなぁ…』」
さようなら、お父さん。
もういなくなったお父さんにお別れの挨拶をした。
もうこのお家には私しかいない。
まずは服を着る。
そしてお隣りさんの家まで行く。
ピンポン。
ガチャリ。
「あら…?どうしたの?美優ちゃん?」
「…お父さんが…いなくなっちゃった」



『あいうえお』の元『E』の住人。
『消去の天才』生神死神。16歳。高校生。
の部屋に何故か俺がいる。
女の子の部屋に男がいるという状況に何故なったかというと…。

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