欠片 3
キーンコーン カーンコーン キンコーン カンコーン
「う〜ん、思いの他悪いなぁ」
保健医がタバコをすいながら言う。
「医者としてはこのまま病院に行くことをお勧めする。
だが、いまは一応教員だ。ただでさえ少ない出席日数を減らすわけにもいかんだろ。とりあえず、様子を見てダメだったらまた来い。」
「いや、此処には当分来ないようにするさ。此処は俺に取って数少ない逃げ場所だからな」
そう、 このつまらない学校生活の中で唯一まともに話せる人がいる場所…。
「感謝してる。
あと、保健室でタバコを吸うな。早苗さんにまた言いつけるぞ」
「や、やめてくれ。姉さんだけにはいうなよ。恐ろしい。あと、必ず放課後、病院の方に顔出せよ〜。姉さんに電話しといてやるから。」
「あと、最後に」
「何だ?」
「これは、医者でも教員でもなく、男として言わせてもらうと、男はイイ女で変わるものだ。良くも悪くもだ。ひょっとしたら、その転校生がお前のつまらない学校生活を変えるかもしれないぜ。まぁ頑張りな」
「まあ、善処するさ。」
俺は保健室を出て教室に向かった。
チャイムが鳴り、教室に入り席につく。
長井と話ていた常葉がこっちを向き口を開こうとするが、躊躇った様子で止めた。
きっと、噂を聞いたんだろう。
みんなそうだった。みんな腫れ物のように俺を見る。
これで常葉も関わってこないと思い、教科書を開く。
授業も半ばを過ぎたころ、隣から小さい手紙のような物が飛んできた。
隣を見ると噂なんて聞い出なかったかのような笑顔があった。