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欠片
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欠片 1

 休み時間が嫌いだった。

 机を囲んで話をするもの。 トランプをして遊ぶもの。 連れ立ってトイレに行くもの。
 その中で、俺はただ1人で次の授業が始まるのを待つ。
 3学期が始まっても、いまだにクラスに馴染めないでいた。
 初めのうちは、話掛けてくるものもいたが、いつの間にか1人だった。
 理由は分かっていた。
 しかし、俺はそれを受け入れ無関心を振る舞い、それを日常としていた。

  また、つまらない学校での1日が始まると考えると白い息と一緒にため息がこぼれる。

 気がつけば、いつもの通学路をいつものように、いつもの時間に通り過ぎていた。

  席に着き先生が入ってくる。
 俺はいつものように机に顔を突っ伏して寝る準備をする。
  しかし、先生の一言でそれは妨害されることになる。
 「え〜、今日から転校してきた常葉さんだ。仲良くするように。」
 クラスが一斉にざわめいた。
 眠れなくなり、転校生の方を一瞥する。 

 「常葉 桜です。ちょっと時期外れの転校だけどよろしくね♪」



  第一印象はいまどきの学生には珍しい綺麗な黒髪だと思った。

何より、その笑顔がかわいい女の子が、いまの自分と対極なものだと感じた。

 
「え〜と、席はとりあえず一番後ろのを使ってくれ」
 先生が言った。

 彼女は、羨望や興味の視線の中を「よろしく〜」とあいさつしながら、俺の隣の席に着いた。

 
 「私、長井 美樹だよ。よろしくね。ミキって呼んで。」
 と彼女の前の席の女子があいさつする。

 
 「じゃあ、私も桜って呼んでね。」
  と桜が返す。
 俺は話掛けられないように再び机に突っ伏した

どうせ、避けられることになるのだから最初から無関心を装った方がいいだろう。



「授業を始めるぞ〜。静かにしなさい。」
 一時間目がはじまった。


 

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