PiPi's World 投稿小説

球児の夢
その他リレー小説 - スポーツ

の最初へ
 6
 8
の最後へ

球児の夢 8

これで史上初の三回戦進出である。島中監督は感激のあまりベンチ裏で涙した。春まで一勝も出来なかったチームが僅か数ヶ月でこんなに快勝出来るチームになるなんて…。これも蒲原や選手達の頑張りの結果である。島中監督は皆に感謝した。
続く三回戦の相手は三年前の夏、ベスト16に進んだ経験のある大須賀第一高校だ。

「今年の国浜はピッチャーがいいらしいぞ」
大須賀第一の監督が主砲の下平に言った。
「いいって言っても所詮は国浜でしょ?潰してやりますよ」
下平は好打者として県内でもそれなりに注目されていたので、国浜ごときには負けられないという思いがあった。

試合が始まった。小林は順調なスタートを切り下平に最初の打席が回ってきた。小林の投じた3球めの直球だった。
「(真ん中?俺をなめんなよ)」
下平は小林の甘く入った直球をジャストミートしレフトスタンドに叩きこんだ。先制したのは大須賀第一だった。小林としてもチームとしても今大会初の失点になった。国浜は大須賀第一の変則モーションの投手にてこずり序盤は0-1とリードを許した。

4回を終えて0-1。
「宇佐見、あのピッチャーそんなにいいのか?」
島中監督は首を傾げた。
「ランナーがいないときはいいですけど、クイックになると崩れやすいみたいですよ」
「そうか、お前達何とか塁に出て奴を動揺させろ」
「はい!」
打席に入った荒木はタイミングに苦しみながらもファールでカットし続け、その結果フォアボールで出塁した。すると制球が甘くなりだした。国浜打線がそれを見逃さず大須賀第一のエースを炎上させた。
一方小林は下平に打たれて目が覚めたのか、以降は会心のピッチングを見せた。
差をつけられての7回。打席に立つ下平。
「(クソッ、国浜ごときに負けてたまるか)」
だが打ち気に逸る下平は追い込まれてしまう。
「(このままやられてたまるかっ)」
最後の一球、小林の投じたシンカーに空振り三振。バットを叩きつける下平。結局試合は9-1、7回コールドで国浜の勝利となった。

SNSでこの小説を紹介

スポーツの他のリレー小説

こちらから小説を探す