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球児の夢
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球児の夢 6

漸くやる気を出し始めた部員達。蒲原は選手の能力底上げのためレギュラー枠を撤廃した。今までは上の学年というだけでレギュラーを優先されていたので、上級生の危機感を与えると同時に下級生でも練習で成果を上げれば試合に出れるとしやる気を促した。
そんな中、目を引くのはやはり小林だった。投球練習にも熱が篭る。
「(いい球投げるな、北山とは全然違う)」
受ける沢井はそう思った。
「…アイツ球速いな」
小林の投球を見た阿久根が言った。
「そりゃそうですよ、小林君は中学のときに県でベスト4になったピッチャーですから」
そう葵が告げた。
「えっ!?アイツそんないいピッチャーだったの?」
阿久根は目を白黒させた。この小林のピッチングが後の国浜高校の快進撃を支えることになる。
ハードな練習を積んで選手達は少しずつレベルを上げていった。その成果を試されたのが練習試合であった。今回の相手は去年の夏、二回戦で2-10のスコアで敗れた清風高校(清風高校は三回戦で敗退)である。この試合に先発した小林(打順は3番)はヒットを打たれながらも要所を締めるピッチングで清風打線を0に抑え、打線は4番ファーストの中村と6番キャッチャーの沢井のタイムリーで2点を奪った。以降追加点は奪えなかったものの小林が清風打線を完封し2-0で新チーム待望の初勝利を得たのである。
「やった!やったぁ!監督勝ちましたよー!」
葵は興奮のあまりベンチで跳びはねた。
「まだまだ、本当の勝負はこれからだ」
そう言いながらも島中監督は内心安堵した。このまま一度も勝てずに夏を終えてしまうのかと思っていたからだ。試合終了と同時に選手達は歓喜し、まるで優勝したかのような光景だった。しかし、島中監督の言うようにこれはあくまで練習試合である。本番となる夏の大会まで後2ヵ月。選手達は果たして何処まで伸びるのであろうか。
そして、夏の県大会の抽選が行われる前日。選手達は小山と大橋が入院する病院に行った。小山と大橋は二人で待っていた。小山は臨時主将となった沢井に向かって
「沢井、チームの状態はどうだ?」
「練習試合にも勝てるようになったし、チーム状態は上々かな」
「そうか…そんなときにチームに入れないのは残念だな」
少し悲しげに小山は言った。
「俺達はココで応援してるからな、いい知らせが来るのを待ってるぜ」
大橋の力強い台詞に沢井は
「ああ、お前らのためにもやってやるぜ」

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