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球児の夢
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球児の夢 3

この時、大橋の体が不治の病に蝕まれていることをチームメイトはもちろん大橋自身も知らなかった…
ある日の練習中の出来事だ。大橋がいつものようにノックをうけているといきなりうずくまり嘔吐した。直ぐ様、島中の車で病院へ担ぎ込まれが、大橋は病院へ行く途中の島中の車の中で意識不明になりその状態のまま二日間病院のベットで過ごした。
大橋は骨髄性白血病と診断された。命には別状ないが夏の大会には出られなくなった。大橋は俊足好打の選手で国高のイチローと呼ばれていた(自称)。長打力のある小山についで主力を離脱させた国高ナインは意欲をなくしていた。
「みんな頑張ろうよ、二人を甲子園に連れて行こう」
マネージャーの宇佐見葵が言った。葵は後〇真希を清楚にしたような風貌だ。いつも野球部に喝を入れてくれる元気娘だ。だが、主力二人の離脱に選手の志気は上がらない。ノックを受けてもエラーばかり。
「みんなーしっかり!」
葵の声にも選手は反応しない
そんな様子をグラウンドの外から見つめる男がいた。彼は一年生部員の小林だ。尤も彼は幽霊部員である。小林は中二のときチームのエースとして県大会ベスト4まで導いた右腕である。だが三年のときに怪我をして一年を棒に振るっていた。怪我が完治したため甲子園の夢を抱いて野球部に入部した。しかしあまりのていたらくぶりに小林は愕然とした。このチームで甲子園は無理だと意欲を失い練習に参加していなかった。葵は小林に気付き
「小林君久しぶり、練習始まってるよ」
「…小山先輩と大橋先輩怪我したんだって」

「うん、でもまだ五月だからね。めいいっぱい頑張れば甲子園に行けるよ」
「…そんな簡単なもんじゃないよ、宇佐見さんは甘いよ」
「そーかも知れないけど、小林君が加わってくれれば夢じゃないよ」
「そんなわけないじゃん」
「私知ってるよ、小林君中学のときにエースで県ベスト4まで行ったってこと」
「……」
「だから小林君が加われば甲子園だって…」
「……」
小林は考えてるようだったが無言で去っていった。
「待ってるからね!一緒に甲子園行こうね!」
葵は去っていく小林の背中にそう呼び掛けた。

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