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球児の夢
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球児の夢 2

阿久根は少し考え込んだ後、何も言わず部室へ向かおうとした。
「おい!帰るなよ!」
その大橋の言葉に阿久根は言った。
「ばーか、お前に頬殴られたから口の中切れてんだよ。治療、治療」
大橋と阿久根はお互いの顔を見て二人で微笑んだ。翌日の朝の練習でなぜか阿久根はショートを守っていた。もちろん荒木もだ。
「いいのか?」
顧問の島中は不思議そうに大橋に尋ねた。
「あの二人が切磋琢磨してがんばってくれればいいんです」
大橋は笑顔で答えた。
数日後の練習試合のスタメン発表の時…島中が言った。「今日は夏を見据えた上でのメンバーで行く…わかったな!じゃあ発表する…1番センター大橋………9番ショート阿久根…以上!」「俺がスタメン…」阿久根は呆然としている。「お前の努力の結果だ!」大橋が言った。阿久根は涙を流しながら深く一礼した…。
一礼をした後、阿久根は急に恥ずかしくなったのか涙を拭き大橋の方を向いて言った。
「俺がスタメンなんて当たり前だろ。言っとくがな俺の辞書には努力の文字はねぇんだ」
阿久根は笑顔の大橋に本気のボディブローを3発くらった。
「冗談だろ…冗談…ははっ」
実を言うと阿久根と大橋は小学校からの大親友だ。
大橋と阿久根は同じ中学の出身で中学時代は二遊間を任されていた。親友と呼べる二人だからこそ…わかりあえるのだ。練習試合は3対5で負けはしたが阿久根の5打数3安打の活躍もあり初めて手ごたえのある試合ができた。試合後にチーム全員で小山のお見舞いにいった。幸い小山は元気そうで練習試合の結果にもよろこんだ…しかし小山は大橋にだけは「早く野球がしたい…グランドに立ちたい」と本音を語った。
大橋は小山の話を無言で聞きこう言った。
「大丈夫だ。次にお前がグランドに立つときは甲子園のグランドだ」
大橋はそう言うと照れ臭そうに笑った。しかし小山は涙を拭くばかりだった。
「俺らがんばるからさキャプテン…」

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