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リベンジャー
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リベンジャー 2

「お前の顔、見覚えがある気がする。どこかで会ってないか?」
光輝から視線を外さないまま鈴音が尋ねる。
「気のせいだと思うよ?俺1Aの黒崎光輝、よろしく水木さん。」
光輝の記憶に鈴音は全く居なかった為そう判断し友好の為右手を差し出す。鈴音はその手を握りかえしたが何かが引っ掛かるようで思案顔になる。
 その日は練習は行われないためそれで別れ次の日の放課後、軟式野球部室に全部員が集合となった。その場で高井が口を開く。
「えー、今年は二人の新入部員が入ってくれました。それぞれ自己紹介をよろしく。」
結局、昨日は二人の他に入部希望者は現れず、水桜野球部は総勢十人となった。 その十人をここに紹介しておこう。

3A 佐藤良一 遊撃手
2A 田中大介 三塁手
2B 木村太一 左翼手
2C 北里真司 二塁手
2C 鈴木真  一塁手
2D 伊藤卓也 中堅手
2F 高井巧  投手
2F 永井昌  捕手

ポジションは昨年秋の大会時のものである。ここに光輝と鈴音を加えた十人で新チームとして動き出すこととなる。

「・・・というわけで二人とも野球経験ありってことで即戦力になってくれると思う。」
「経験者って言っても女だぜ?戦力になるか?」
「伊藤、そんな言い方はないだろ。まぁ、一応このあとどれくらいの実力があるのかは見せてもらうけどな。」
「それじゃ、さっそくグラウンドに出て練習だな!」最後は唯一の三年生佐藤が促してグラウンドへと出ていく。


「・・・すげぇ。」
「こいつら硬式でも即レギュラーだろ・・・」
部員達が感嘆の溜息を漏らすほど、二人の実力は飛び抜けていた。
 まずは鈴音、捕手としての守備ではどんな暴投でも涼しい顔で捕球し二塁への送球も正確。フリーバッティングではボールを正確にミートし華麗な流し打ちを披露していた。
 一方の光輝は・・・
『ッィイイン!!』鋭い金属音が響くと同時にボールが外野手の遥か頭上を越えていく。守備に関しては平均だったがその打撃力は皆の度肝を抜いた。
「こいつらとなら結構いいとこまで行けるんじゃないか。」
 二人のプレーを見て部員達の目に光が宿る。実力はいまひとつだが心底野球が好きなメンバーだから喜びに震えている。
喜びに沸く上級生達からは少し離れたところで鈴音も光輝のプレーを見つめている。その目に疑問の色を浮かべながら・・・

「よーし、今日の練習はここまでー!」
『お疲れ様でしたー!!』
「黒崎、水木、二人はネット片しといてくれ。」
弱小野球部にも先輩後輩の関係はあるもので二三年生は先に部室へと引き上げて行きグラウンドには二人だけが残された。光輝はすぐに片付けに取り掛かるが、鈴音はなにか聞きたそうな顔で動こうとはしない。
「水木さん?」
不審に思った光輝が声をかけると決心したかのように正面から光輝を見る。

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