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リベンジャー
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リベンジャー 1

「レフト行くぞー!」
ブン、スカッ!
「お〜い、ちゃんと打てよ〜」

 私立水桜(みなざくら)高校軟式野球部、部員数八名練習のノックもまともに成立せず、大会時は他の部活から助っ人を頼む絵に書いたような弱小チームだ。「予想どうり練習も適当、やっぱここだな。」
そう呟きながら練習を見ている少年は黒崎光輝(くろさきこうき)一週間前に中学を卒業し二週間後には水桜高生になる予定。
  光輝が水桜野球部に入部する日から物語は動き出す

 入学式が終了し各部活が新入部員勧誘に必死になっている。野球部も例外ではないが閑古鳥が鳴いている。
「やっぱ軟式野球やる奴なんてそういないよな・・・」
「まぁ、野球がやりたかったら星海の硬式に入るよな。」
そう話しているのは野球部キャプテンの高井巧と副キャプテンの永井昌である。二人とも二年生だが水桜野球部の中では熱意も実力も高いために部の中心にいる。水桜高校には硬式野球部がなくまた近くに星海高校という硬式野球部のある学校があるため野球経験者等はほとんどがそちらへ行く。
そのことを二人は話しているのだ。

「野球部ってここでいいんですか?」
本日初の入部希望者がやってきた、もちろん光輝のことだ。途端に二人の眼が輝く。
「あっ!入部希望者!?俺達キャプテンの高井と副キャプテンの永井です。よろしく、とりあえずこれにクラスと名前書いて。」
「野球の経験はある?もしあったらポジションは?」「北中の野球部出身です、右投げ左打ちのファーストでした。」
光輝は名前を記入しながら質問に答える。
「経験者!?ホント!?えっと、黒崎光輝君、ありがとう君が入ってくれれば九人揃うよ。」
二人の喜び様は相当のものだ、念願の新入部員、しかも経験者で即戦力なのだから当然と言えるだろう。喜びに満ちている二人は新たな人物の登場に気付かない。それは一人の小柄な少女だった。
「・・・野球部に入りたいのだが?」
少女の言葉にふと我に帰り当惑する。
「あ、うちはマネージャーの募集はしてないんだけど・・・」
「私は選手として入部したいんだ、軟式なら女でも構わないだろう?」
「あぁ、ごめん、そういうことなら大歓迎だよ!それじゃこれにクラスと名前を・・・」
「1Bの水木鈴音(みずきすずね)だ。」
少女−鈴音は続ける
「中学までは岐阜に居たのだが父の転勤について引っ越してきた、野球経験もあるぞ、ポジションは捕手だった。」
その言葉に永井の眼が輝く「捕手!?マジで!?やった!本職がいれば俺はセカンドにもどれるな!」
永井は本来なら二塁手なのだがチーム事情により捕手をやっていた。ちなみに高井は本来遊撃手のところ投手となっている。
 興奮する永井を余所に鈴音は光輝を見つめている。光輝は割と長身のため見上げるような格好になっている。
「な、なんだよ。」
居心地の悪さを感じた光輝が尋ねる。

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