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Gear〜鍵を成す者〜
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Gear〜鍵を成す者〜 20

「えっ」
「いいから座席の下見てみろ、小さな扉があるからその中を探せ」
リオは小さくうなずくと手を思いっきり叩いた。
「…ああ!!思い出した、たしか…」
座席の下に手を当てると、ちょうどそこには小さな扉があった。
「これこれ、と」
リオが上げたその手には、一枚の小さな板が握られていた。
「すみませんお手数をおかけしてしまって、手続きはすぐ済みますので、もうしばらくおまちください」
そういうと番兵は、門の前にある小さな建物へと走っていた。
「ありがとう」
「どういたしまして」
リオが振り返り荷台の中を見ると、そこにはかつてこの馬車を守っていた男が樽の上に座っていた。
「あんた、錬金術師だな?」
「僕はリオ、君の靴を噛んでるのが赤兎、…もう放していいよ赤兎」
「…分かった」
赤兎が足を放すと、男は話を続けた。
「リオ、俺に錬金術を――」
「お待たせしました」
「また後で」
リオが笑顔で手を振ると、男は静かに樽の中へと戻っていった。
「ようこそ、ゴンドラへ、大通りをまっすぐ行けば――」
「ありがとう、道の事は聞いてるから大丈夫だよ」
リオがまっすぐ門を見ていると、少しずつそれは開いていき、目の前にはにぎやかな町並みが現れた。
「荒れては、ないんだ…」
リオがつぶやき、手綱を握ると、大きな馬車が門をゆっくりとくぐっていった。



「もういいか?」
馬車が止まってしばらくすると、樽の中から男の声がした。しかしその声に答える者の姿は既になかった。

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