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ドラゴンクエスト[〜それから〜
その他リレー小説 - 二次創作

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ドラゴンクエスト[〜それから〜 43

声に反応したランキヌが剣を抜こうとする、それに気付いたエルトリオは、ランキヌの腕をおさえ、首を振った。
「ん?どうかしたのかね?」
「なんでもありません、我等兄弟は隣の里から参りました」
「本当に隣の里かね?」
「は、はい…」
「そうか…二週間前、我等の里の王が襲われた。王を襲った男は自らを『竜王』と名乗り、竜人族の住む里を次々と焼いている。隣の里は一週間も前に焼かれ、住人は皆殺しにされた…」
エルトリオは息を飲んだ。
「(竜王って、さっき会った魔導士じゃないか!)」
その様子を見たランキヌが口を開く。
「僕ら、里から離れた所にいて難を逃れたのです。遠目にも町が襲われてるのがわかって、とても怖かった……」
それを聞いたグルーノは目を伏せた。
「そうか……」
かわいそうに、と一言加えて彼は二人の頭を撫でた。エルトリオは罪悪感を持ちながらも、ランキヌの話に口裏を合わせる。
「この里に身を寄せてもいいでしょうか」
「よし、私から長老に話してみよう」
こうして、二人はウィニアの故郷へと足を踏み入れた。
「それにしても気の毒だったね、心配するな話は……、こ、これはどういう事だ!?」
変化の効果が薄れ始めた二人の姿は、ゆっくり点滅していた。
「エルトリオ、不味いぞ」
「エルトリオだと!?貴様まさか!!」
ランキヌの隠し持っていた変化の杖を、グルーノは見落とさなかった。
「チッ、バレたか…仕方ない…」
グサッ
エルトリオは一体何が起こったのか、すぐに理解できなかった。分かっているのは、背中に何か刺さっているという事だけだった。
「ゴホッ」
「グルーノ様、私めが今、反逆者を処罰いたしました」
エルトリオは倒れた、日の光によりランキヌの顔が影になっていたが、確にその男はこちらを見て笑っていた。
「裏切られた、のか…」
霞んでいくエルトリオの瞳に愛しい女性が映る。しかし、もう彼には見えていない。
「エルトリオ!エルトリオォ!」
彼に駆け寄ろうとするウィニアをグルーノが制した。
「ウィニ……ア」
呼ぶ声に応じて、エルトリオは微笑みながら手を伸ばした。しかし、そのまま地に落ちた。ウィニアが悲しみと怒りに満ちた瞳をランキヌに向ける。
「あなた、誰なの!?どうしてこんなこと…」
そこまで言うと彼女は泣き崩れた。

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