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ドラゴンクエスト[〜それから〜
その他リレー小説 - 二次創作

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ドラゴンクエスト[〜それから〜 44

剣についた血を振り払うと、それをしまうランキヌ。
「ウィニア様…お久しゅうございます、ランキヌです」
ウィニアはしゃがみこんだまま首を振り、『知らない』というそぶりを見せる。
「橋の上で会った時に微笑んでもらって…他には…」
「もうよい。そなた、分かっておるだろうが、今は竜王の驚異もあり、里にみしらぬ者を入れる訳にはいかん」
「グルーノ様、私は怪しい者では…」
信じられないという顔をしたランキヌが一歩ずつ近づいていく。
「知らない!知らないわ、あなたなんて知らない!!」
ウィニアが地に拳を叩きつける。ただならぬ異変を感じ取ったのか、背後からは赤ん坊の泣く声が聞こえた。
「エルトリオ……。やはりお前は私の邪魔をする!」
ランキヌの瞳は憎しみに満ちていた。
ランキヌは走りだす、その瞳に迷いはなく、行き着く場所は決まっていた。
「竜王!!どういう事だ、話が違う!!」
「(お前こそ話が違う、竜神王を殺さずに戻ってくるとは、役立たずめ)」
「何とか言え!!竜王!!」
「…時期が早すぎたのだ、竜神王を殺してからでなければ、エルトリオを殺してはいけなかった」
「しかし!!」
胸ぐらを掴むランキヌ、その腕を払う竜王。
「まだ遅くない、竜神王を殺すのだ、さすれば自然とウィニアはお前の元へ…さあついて来い、この先にお前の望む力がある」
竜王は重い鉄の扉を片手で容易く開き、指をさす、そこには漆黒の武具が置かれていた。
「竜神王を殺せば…」
魂を抜かれたようなランキヌは、その身を漆黒に包む。
──それから彼は竜王の傀儡(くぐつ)となり、竜神王の命を求めるんだ。ウィニアが死んだ事にも気付かずに…
「俺の母さん、竜人族だったんだ」
エイクがぽつりと呟いた。その顔に生気が戻って来ている。エルがその頭をわしわし撫でた。
「王族とのハーフだぞ。無茶くちゃカッコイイだろ?」
暗闇の中、二人の身体の線を沿う様に淡く光り出す。彼は父というエルトリオにも似ていたし、エイクにも似ていた。屈託の無い彼の笑顔につられてエイクも思わず笑みをこぼす。
「なぁ、エル。竜神王って…?」
「竜人族を統べている御方だ。竜王は簒奪を企ててる。」
エイクが小首を傾げる。何かを考える時の癖だ。

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