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All right
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一方、その明希と夏美はと言うと・・・・
「それで、まだ告白しないの?春山くんに」
「い、いや。だから、その」
明希の問いに頬を赤く染めているのは、明希の古くから友人である秋島夏美だ。
艶やかな長い黒髪と切長の目が特徴的な美人ではあるが、今の彼女を知っている人が見たら首をかしげるだろう。
普段は中性的な物腰の彼女は凛々しいと言う言葉がピッタリなのだが、恋愛になると超奥手なのだ。
ちなみに春山くんとは、彼女の意中の人物、春山冬の事である。
スキー部に所属し、全国でも名の知れたスキーヤーである彼も夏美の事が昔から好きなのだが、こちらも超奥手だった。
そこが昔から二人の関係を知る人物をヤキモキさせる。
「相変わらず、恋愛の事になるとおとなしくなっちゃうんだから」
「仕方ないだろう!は、恥ずかしいんだから。だいたいこんな状況で告白なんて出来るわけないだろ!!」
すでに明希から状況を聞いた夏美はそう叫ぶ。
「まぁ、それもそうよね。あ、なら、春山くんにも手伝って貰おうよ。スキー部は出しもの無いって言ってたし、運動神経いいからさ。うまくいけば、告白のチャンスも・・・・」
「だから、その話はもういい!!」
笑う明希に夏美は再度叫ぶのだった。
「そ、それにだ。そういう明希は白瀬とはどうなんだ? 何か進展はないのか」
「え!? ――あ、さ、悟とは、その……」
 夏美としては軽くからかっただけのつもりだったが、明希は顔を真っ赤にして言葉をつまらせてしまった。
「べ、別に悟とはただの昔馴染みだし友達とか兄弟みたいなものだし……だって、ほら、あいつ昔からみんなに遊ばれやすくて――」
「分かった分かった。いいから落ち着こう」 夏美は苦笑しながら軽く言う。結局、ふたりとも似たもの同士なのだった。
 そこへ唐突に響く声。
「おれがどうかしたって?」
「さ、悟?! いつの間に入ってきたの?」
「いつって、たった今ドアから普通に入ってきたけど。鍵かかってなかったし」
「まぁ、それは良いとしよう。白瀬、捜査の進展状況はどうなっている?」
 動転した明希に変わって夏美が問いかける。
「かくかくしかじか……」
 一通りの説明を受けると、夏海はふぅむと腕を組む。
「……容疑が外れたのはひとクラス分の生徒だけか。容疑者の数はまだまだ膨大だな」
「ああ……。だけど今は情報が少なすぎる。これ以上の特定は難しいよ」
「ふぅ、進展があるまではほぼ全校生徒が灰色、か。正直な話、気が休まるときがないんじゃないか?」
 後半は明希に向けての言葉だ。
 確かに廊下ですれ違うすべての生徒に疑心暗鬼になっていたら、明希の心もどれほど保つか分からない。
 嫌な沈黙が部屋を包んだとき、明希がうつむきながら小さく、弱々しくつぶやいた。
「……ごめんね、私のせいで迷惑かけて」

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