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All right
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All right 2

「ええっ、そんなはずないじゃない。引いて開けるところを押したとか、そういうボケじゃないわよね?」
「んなベタな。ちゃんと試したって」
「だって、ちょっと前に京が資材取りに行ったはずだもん。なかなか帰って来ないから、一人で持つには重いのかなと思って悟に頼んだのよ?」
首を傾げる茜。京とは、彼女達のクラス委員である響京の事である。
「それなら、資材の方で歩いてくるだろ。便利だよなぁ、『魅音』」
『魅音』とは、京の使う『異能』の名前だ。彼女の持っているオルゴールの音色を聞かせた物体は、彼女の命に従うゴーレムとなるのである。
「もしかしたら、資材が崩れて埋まっちゃってるのかも。気絶してたりしたら『異能』だって使えないよ」
「んな事はないと思うけど……しょうがない、もう一回見に行ってくるか」
踵を返し悟は再び倉庫へと向かった。

「んー!!…やっぱ開かねーよ。内側から鍵かけてあるじゃん」
力まかせに扉を開けようと孤軍奮闘してみたものの結果は明らかだった。
「仕方ねーなー、職員室まで鍵もらいに行くのも面倒だし『異能』使うかぁー」
悟は深呼吸し、首をコキコキならした。
「…この扉が開かないなんて、『嘘』」
言いおわると扉の鍵がカチっとなる音がした。悟が扉を開くと中には散乱した木材があった。
「京ー!!いないのかー、いたら返事しろー!!」
すると部屋の奥の方でもぞもぞと動く人影が見えた。
「ふぁー、よく寝たー。あれ?悟じゃん」
そう言うなり大きく伸びする。
「よく寝たーじゃねぇよ!!こんな忙しい時にサボってんなよ!!」
「なんで入れたの?あたし鍵かけたのに」
人の話をまったく聞かないマイペースな京に悟はため息をつく。
しぶしぶ京のペースに合わせる事にした。
「扉は『言霊』使って開けたんだよ…」
悟の『異能』は『言霊』と呼ばれる能力。ある言葉をキーワードにして発現する。悟の場合は『嘘』という言葉だ。さほど珍しい能力ではない。
「ったくこんなとこでよく寝れるなぁ…」
「昨日徹夜でゲームしてたからさ!」
「あーそ。早く木材運ばないと茜に何言われるかわかんねーぞ?キレたら手が付けられないの知ってるだろ?さぁ早く!」
すると後から声が…
「おそーい!あんた達何やってんの!?」
「茜ちゃん!?」
「あ、茜…どうしてここに?」
二人とも動揺で語尾がかすんでいる。
「あんた達があまりに遅いから様子見に来たのよ!」
「ば、ばかな…走ってでも15分はかかるのに…あぁ、『異能』使ったのか」
「当たり。あんたの背中見てみなよ。」
悟は慌てて自分の背中に触れてみる。すると腰のあたりに紙のような物が貼ってあった。「いつのまに…」
その紙には『あかね』とひらがなで書いてあった。
「さすが茜ちゃん!便利だね『瞬身』」
茜の『異能』は『瞬身』。目印のある所まで一瞬で移動できる。その目印というのが、自分の名前を書いたシールなのだ。

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