French Kiss 3
つまり。知らないオッサンに道聞かれて、言えばいいのに一緒に行って犯されかけた…って!馬鹿だろ。こいつは昔っから疑わねぇから騙されんだよ!
「美羽。人を信じる事はいいけどな。少しは危機感を持て!」
ただでさえ周りの奴から目つけられてんのに…犯されかけたなんて知ったら…はぁ。
ハーフの父親とクウォーターの母親を持ち、外国の血が入っているせいか。中学生とは思えないスタイルと整った顔立ち。そしてこの性格だ。同年齢の奴はもちろん、ロリコンじゃない大人まで美羽に目がいく。
ここいらじゃ美羽のこと知らない者はいない。というくらい有名なのだ。
まぁ本人に自覚は全くないってのが厄介なんだが。
だからこの事は誰にも知られないようにしなきゃな。
「美羽、もう大丈夫だから。これから絶対俺が守ってやるから。な。」
優しい声色で美羽の頭を撫でてやる。
「ゆ…くん。ゆー君!!ふぇぇえ。こわか…たよぉ。ゆー君が来てくんなかったら…美羽…美羽。うえぇぇん。よか…た。ゆー…君。ゆ…く。」
「美羽…。」
悠也は美羽にかける言葉を探したが見つからなかった。ただ唯一できたのは冷たく、未だに震える美羽のからあだを抱きしめることだけだった。
美羽の心が落ち着いて二人は美羽の家へと帰った。母親に「二人でおしゃべりしてたの。」と笑っていうもんだから、俺は美羽の心にできた深い傷を見落としてたんだ。
次の日、朝練があったけど美羽のことが心配だった俺は初めてサボった。罪悪感はあったけど、後悔はしなかった。
同じクラスの俺達は一緒に教室に入ろうとしたら
「高瀬さん。ちょっといいかな。」
振り返ると隣のクラスの―林だったと思う―が美羽の腕を掴んでた。
「(あぁ〜告白かぁ。)」
なんて思ってた隣で顔が青ざめていく美羽。
「……ぃや。」
「え?何?高瀬さ」
「ぃやあ!!ゆ…ゆー君!ど…しよ。や、ぃや。」
昨日のことを思い出したのだろう。美羽の体は男性からの接触に拒否反応を起こした。