French Kiss 2
美羽と悠也がまだ中学2年生の夏休み。
悠也はサッカー部の練習が終わり、激しい運動後の空腹感を抱えつつ家路を急いでいた。
「あっちぃ〜。腹へったぁ〜」
育ち盛りの14歳の頭の中はご飯でいっぱいだった。
「(今日の夕飯なんだろ。昨日はカツ丼だったな…かかか、カレー食いてぇな。)」
空腹に負け、いつもは通らない近道--痴漢やヤンキーのたまり場で有名な公園--を通ってると、どこからか女の叫び声が聞こえてきた。
「っいやぁぁあぁあ!!!!」
びくうっ!!
「な!なんだ?」
驚きながらも声のする方へ行ってみる。
ガサッ
「…なっ!」
そこにいたのは
美羽と知らないオッサンだった。
美羽の顔は恐怖で歪み、涙が溢れていた。
そして…制服ははだけ、腰には親父の手…。
ぷちっ
「んのオッサン!!てめぇ何やってんだよ!警察呼ぶぞ!!」
「あっ…!ゆー…君。」
「ぐすっ。ゆ…う君。うっ…ふぇっ。」
今いるのは俺の部屋。
“警察”という言葉を聞いた途端、あのオヤジは逃げやがった。追いついて警察につき出しても良かったけど、あの場に美羽ひとりを置いていくことを考えると足は動かなかった。
とりあえず、美羽に部活用のジャージを肩にかけ
「美羽。家、帰ろ?」
俺は優しく言うが
美羽は顔を上げずに首を横に振った。
「どうして?ここ、いたくないでしょ?」
「…。」
「(どーすりゃいいんだよ。いつまでもこんなとこいちゃマジで警察来ちゃうし……あっ!)美羽、俺んち、来る?」
こくっ。
「じゃ、いこっか。」
んで、今ここにいるってーわけ。やっぱ親にはバレたくないだろーしね。
それよりも。なんで美羽ああんなとこにいたんだろ。先生や親から絶対通るなって言われてるし…
「美羽。泣いてちゃ分かんないよ。どーしてあんなとこ通ったの?」
「っ。ぐすっ。がっこ…かえ…てたら…ふっ。道…きか…れて。ふっ、ぐすっ。こうえ…んどこって…で。ぐすっ…いっしょにいっ…たら。ふぇぇ。」