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遠距離恋愛
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遠距離恋愛 9

少しイライラして答える。
しかし―
『……あっ!ゴメン!私、今仕事中なんだった。また電話するね、じゃ。』
プツ…ツー…ツー…ツー
「相変わらずだな、咲」
突如切れた電話に昔を思い出して、クッと笑った。

プチッ。
(何やってんだろ、私…)
咲は携帯をポケットにしまい、店に入る。
「…どうした?まだ休憩時間まだあるし、もう少しゆっくりしてきたら?」
咲が休憩から早く上がってきたので、マスターがすかさず声をかける。
「はい、でも平気です。」
「そう?なんか顔赤いみたいだけど、あんまムリしないようにね。」
「はい…」


咲の頭の中は久しぶりに話をした圭介のことでいっぱいだった…。
久しぶりに聞いた低い声。
相変わらずの口調。
なにひとつ変わってない。
(急かすということはもう女がいるってこと?…でも…今、どこにいるの?)

珍しく消極的な接客、ぼーっとして生返事を返している咲にマスターも心配の目を向けていた。




(なんかオレ、変なこと言った…?)
智はメールを早々と中断され、一人悶々としていた。「…嫌われたかも…間違いねぇよ、あ゙〜」
ストン―。
圭介が席に戻る。
「何やってんだ、お前?」
頭を抱えて唸っている智にあきれた顔をしている。
「なんでもねぇよ。それより電話、女だろ?」
「ピンポ〜ン!昔のな。」
「昔って…お前の女は両手で数えきれないぞ…」
「そん中でも、…一番好きだった女からだったよ。」
珍しく真面目な顔をして、ビールを喉に流していく。
「…お互い、女のことで悩んでるのか…難しいよな、女って」
大きくため息をついて、智は携帯をじっと見つめた。
「お、ちょっと待て!お前と一緒にしてもらいたくないなー!
俺はお前と違って一人で悶々としないからな」
「ん〜…そうだよな。圭介は俺とは違うからな…」
ますます落ち込んでいく智。
「おいおい…情けねぇなぁ」
圭介はそんな智をビールジョッキ越しに見ている。
「圭介〜!俺、どうしたらいいんだよ〜!!」
「そんな目ぇ潤ませなくても、相談くらい乗ってやるって」
「圭介…!!」

久しぶりの居酒屋は、
圭介の恋愛レクチャーとなってしまったのである。

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