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遠距離恋愛
恋愛リレー小説 - その他

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遠距離恋愛 1

「俺、この街から出るんだ。でも出る前に一つ願いを叶えて。」
半年前にできたメル友の智からの突然のメール。
「綾に一度でいいから会いたい。そうすれば後悔しなくて済みそうだから…」
メールのやりとりのきっかけは出会い系サイトだった。
新しい携帯を買ったのはいいのだが、電話をしたりメールのやりとりをする相手も少ない綾。少し寂しいときもある。そこでただ純粋にメル友が欲しいと思い、軽い気持ちでサイトに登録したのだった。
「メル友募集☆お互いの癒しになれたらいいな、と思います。写真交換や実際に会ったりするのはなしで。よろしくお願いします!」
登録ボタンを押す。
「今時会ったりできない女にはメールはこないかもね…」
綾はそう思いながら、携帯をベッドに放り投げた。
何気なくとったこの行動。
それこそが、これから綾を大いに変えていくことになろうとは…今は知る由もなかった。

「やっぱ、やめとこ。来なかったら悲しいし。」
登録を解除するためにベッドから携帯を取り、新しい機種の操作に手間取っていた、ちょうどその時―。
綾の着メロが鳴った。

「え?…これ、まさか?」
戸惑いながらもメールを開く。それは、待ち望んでいたメル友第1号、後に綾の心を揺るがすことになる智からのメールだった。

「はじめまして。智といいます。一日の終わりにおやすみ、って言い合える人が欲しいと思っていました。お互い励まし合ったりできるといいですね。お返事待っています。」

綾も一人暮らし。仕事が休みだと一日ずっと部屋に引き篭っていて、言葉を発さない日もある…。
「おやすみ、って言い合える人、かぁ…」
綾は無意識にそのメールを何度も何度も読み返していた。

…気が付くと20分近く携帯を見つめていた。
「…やだ、私ったら…でもこの人でいいかなぁ?…優しそうだし…う〜ん…」
実は綾が携帯を見ている間、何通かまたメールが届いていたのだが、綾はそれには目もくれずにいた。
それほど智からのメールに心惹かれていたのだった。

「…よし!この人に決めた!一番最初にメールくれた人でもあるしね。」
決めたらあとは早い綾。操作に慣れないながらも返事のメールを作る。

「はじめまして、智さん。綾です。メールありがとう!これからいろいろお話して仲良くなれるといいですね。よろしくね!」

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