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遠距離恋愛
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遠距離恋愛 7


その頃…

智は久しぶりに圭介に呼び出され、いつもの飲み屋に向かっていた。駅の階段を降りた時に携帯が鳴る。

「もしもし?」
「あ、オレ!今どこ?」
圭介から催促の電話だ。
「今、駅。もうちょいでそっち着くよ。」
そう答えた時、前方から、昨日のカフェの女の子が歩いてきた。
(あ〜!昨日の…)

さすがに話しかけるわけにもいかず戸惑っていた。実は今日もまだ恥ずかしさが抜けず、行けなかったくらいなのだ。

「…もしもし?智?聞いてるのか?」
「…あ、ああ。ホントもう少しだからさー」

そう話しながら少しうつむいて歩いてすれ違う。
彼女は気付かないのか、黙って智が来た方向へ歩き去って行った。

「…良いやら悪いやら…」
ため息を一つ。

「おい!智!何だよ!急に黙ったりため息ついたりしてさ。こっち来たらいろいろ話してもらうからな!切るぞ。」

(しまった、電話繋がったままだったか、あの子気を取られ過ぎた…)
と思ったが、もう遅かった。
間もなく着いた居酒屋で、智は圭介からさっきの出来事を問い詰められたのだった。

「それって一目惚れってヤツじゃねぇ?」
圭介が智の顔を覗き込みながら言う。
「まっ、まさか…!」
少し動揺しながら答える智をにやにやしながら見る圭介。
顔を赤くした智は、ビールを一気に煽ると、
「圭介!また俺のこと、そうやってからかう〜!楽しんでるだろ?」
と抗議した。
「はは…ごめんごめん。今日は楽しく飲もうな!」

確かに…。
気付いてない、ってことが少しだけショックだったのは確かだ。
それが好きとか嫌いとかと結び付くかどうか?

智は圭介と他愛のないことを話したりしながらも、そのことが頭の片隅から離れないでいたのだった。

綾は…というと、実はその時気づいていた。気づかないフリをしていたのだ。自分から話しかけることはまだできない。

(なんか中学生みたい…)
とは思いつつ、それだけで少し満足しているようである。足取りも軽く、駅へと急いで行った。


「こんばんわ!今日も良いことがあったよ〜!そちらはどうですか?」
買った紅茶を飲みつつ、メールを送信する。
(コレ、美味しい!)
少し奮発して買ったため、普段のものとは格段に味も香りも違う。些細なことでも嬉しいことがあったため、それは格別に美味しく感じられたようだ。



「あ、智。ケイタイ鳴ってんぞ〜、ほら。」
トイレに席を立っていた智に圭介が携帯を手渡す。
「お、サンキュ〜」
「な〜、最近お前、メールよくやってるよな?」
「うるせぇな…」
ニヤニヤと笑っている圭介をよそにメールをチェックする。

(良いことか〜…複雑なんだよな、オレの場合…)
「う〜ん…そうだな。」
考え事が途中から口に出てしまっている智。
すかさず圭介が呟く。
「…女だな〜?さっき一目惚れとか言ってたくせに」
「ば、ばか、違うって!」
「その慌てぶり見てりゃ、嫌でもわかるって。」

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