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遠距離恋愛
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遠距離恋愛 23

(智さんって…わざとかなぁ?それとも天然?)
どちらにせよ、自分を受け入れてくれているような気がして、綾は嬉しい。
自然と笑顔になってくる。
「さぁ、今日も頑張らないと〜!咲さんの分も頑張らないといけないし、ね!」
声に出して言って、うん、と一つ頷いてから綾は出勤の準備を始めた。

今日は咲とシフトを交代したので、綾は少し遅めの出勤となった。
「おはようございます〜!」
「あ、綾ちゃん、おはよう!」
(咲さん…今日もキレイ…)
咲に挨拶するも、ちょっと見とれてしまう。
「ん?綾ちゃん?どうかした?」
「え、あ、いえ…咲さん、キレイだな、って思って…」
綾はそう言うと顔を赤くして少しうつむいた。
「綾ちゃん」
咲の声がすぐ近くに聞こえる。
うつむいた綾の顔を覗き込んできたのだ。
「ありがと!」
綾が顔を上げると、咲は綾にウインク一つして仕事に戻った。
(咲さん、素敵…!)
その後姿を見ていると、
「綾ちゃん。見とれてないで…お会計してくれないかな?」
マスターが声をかけてきた。
「はっ、はい!」
咲にうっとりしていた綾は、マスターの声に少しびっくりしたが、すぐにレジへ向かった。
「ありがとうございました〜!」

レジを打つ綾の姿を見ながらマスターが、
「咲ちゃん、綾ちゃんを誘惑しないようにね。」
と咲に小声で言い、
「え〜??まさか〜!してませんよ!」
と咲が笑いながら答える。
「そう?」
マスターは咲を優しい目で見ながらそう言うと、オーダーのコーヒーを淹れ始めた。

「またお越しくださいね〜」
(マスター、咲さんと何話してたんだろ?)
マスターのいつになく優しい顔をレジを打ちながら見ていた綾はそう思ったのだった。

咲のお昼の休憩時間になった。
「じゃあ、綾ちゃん。休憩入るわね。」
「はい!分かりました〜!」
綾に笑顔で手を振り、咲は裏口から外に出た。
裏の通りはあまり人がいない。
咲は休憩時間になると、ここで静かに過ごすのが好きだった。
(…圭介、今日だってこと、ちゃんと分かってる?)
急に不安になり、携帯をポケットから取り出す。
「電話…したら、出てくれるかな…?」
携帯を操作し、圭介の電話番号を画面に表示させ、通話ボタンを押す。
電話呼び出しの画面に変わったのを確認して、咲は携帯を耳に当てた。

(もし、忘れてたら…!)
更にそんな不安が咲の胸を過る。
急に心臓がドキドキして、手が震える。
呼び出し音が鳴り出す。
(だめ…!)
咲は電話を切り、その場にしゃがみ込んだ。
(圭介…)
咲の目に涙が溢れた。

♪〜♪〜♪♪〜
咲の手の中の携帯が鳴り出す。
「えっ?!誰っ?」
涙を溜めたままの目で、携帯の画面を見る。

『圭介』

咲は慌てて電話に出た。
「…もしもし?」
「…咲?何だよー?ワン切りかと思ったぜ、びっくりさせんなよ。」
「ごめんね〜!」
「あ、もしかして。俺のこと疑って電話してきたんだろ?」
圭介の言葉に咲はどきっ、とした。
「そうなんだろ?忘れてないかって心配になったんだろ?」
咲の目に溜まっていた涙が一粒こぼれた。


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