PiPi's World 投稿小説

遠距離恋愛
恋愛リレー小説 - その他

の最初へ
 19
 21
の最後へ

遠距離恋愛 21


「こちらこそ…?」
綾から届いたメールを読んだ智は、少し考えていた。

朝、電話を切ってから、今もずっと綾の声が耳から離れない。
明日も声が聞きたい、だなんてどうやって綾に切り出そうかと思っていた。
そこに綾からのメールが届いたのだった。
そこに書かれていた文字。
『こちらこそありがとう』

「…ってことは…だ!」
自室のソファに座っていた智は、綾のメールを見つめたまま立ち上がった。
(綾さんも俺と同じ気持ちなんだろうか?)

「じゃあ、明日も京と同じでお願いします」
智から届いたメールを読んで少し悩んだ綾だったが、くすっ、と笑うとすぐにメールを送る。
「智さん…初変換ミスだね〜!どうしたの?それと起こす時間、了解です。任せてくださいね〜」

(あ〜!やってしまった…!)
綾から指摘されて、智は送信済みメールを確認して赤面した。
いつもは、送信前に確認して変換ミスがないようにしているのだが、つい間違えてしまったようだ。
(綾さん…!)
自分と同じ気持ちなんだろうか?
もし、そうなら…。
智は携帯を握りしめた。

♪〜♪〜♪♪〜
綾の携帯が鳴る。
(ん?メールじゃない…?せっかく智さんとメールしてるのに〜!)
少し迷惑に思いながら携帯を手に取り、画面を見る。
そこには『智さん』との文字があった。
「え?!どうして…?」
戸惑いを隠せない綾は、鳴り続ける携帯を見つめた。

8回目のコール。
(綾さん…!)
智はなかなか繋がらない携帯を再び握り締める。
9回目のコール。
(突然電話したから怒ってる…?)
次のコールで出なかったら、もう切ろう。
智がそう思った時、
「もしもし…?」
耳元で綾の声がした。
「え…」
唐突に繋がった感じがした智は、一瞬驚く。
「もしもし?綾です…」
「あ…綾さん…。智です」
ちょっと間抜けな応答になってしまった智だったが、
綾が電話に出てくれて嬉しいのだ。
「綾さん、ごめんね?急に電話したりして」
「いいえ…でもどうしたんですか?さっきまでメールしてたのに。びっくりしました。」
「いや…その…」
言っていいのだろうか?
智はそう思う。
「ん?どうしたんですか?」
綾の声が聞こえる。
(かわいい…)
智は深呼吸をして話し始める。
「綾さんの声聞きたくなってね。それで急にだけど電話したんだ!」
智は一気に話した。
綾がどう思うか分からないけど、そう言わないと自分の気持ちが自分で分からなくなりそうな、そんな気がしたのだ。
「え…」
綾の声が聞こえる。
「綾さんの声、すごくかわいくて、それでいて安心するなって思ったんだ。それで、我慢できなくて電話しちゃった」
「…」
「綾さん…」
「…ありがとう」
綾の声はちょっと小さかったが、智は自分が受け入れられているのを知った。
「綾さん、朝も『ありがとう』って言ったね〜!」
「え?そ、そうですか?」
「うんうん、言った言った〜!」
「え〜?」
とても嬉しいのがちょっと恥ずかしくなり、智は少し綾をからかったりしたのだが、
その反応がまたかわいらしくて、智はさらに嬉しくなるのだった。

(智さん…朝の会話覚えてたんだ…)
綾はまた少し涙ぐんでいた。
自分をかわいいと、安心する存在と言って貰えた。
それだけで嬉しい。
身も心も軽くなって、幸せな感じ…

(あれ、綾さん。黙っちゃったけど…何かまずかったかなぁ?)
綾の声が携帯から聞こえなくなった。
智は不安に思い、綾の名前を呼んでみる。
「綾さん?」
「あ…はい」
「どうしたの?黙り込んじゃって。」
「ごめんなさい…ちょっと嬉しくって…」
「本当?俺も嬉しいよ。ありがとう!」
綾も嬉しいと知って、ほっとする智だった。

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す