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遠距離恋愛
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遠距離恋愛 17


「俺もいい日だったよ!でもちょっと失敗したかな…」
智も綾につられてメールする速さがいつもより増している。

「え?失敗って…??智さんでも失敗するの?」

「失敗するよ。ほぼ毎日かな?でも今日のはかなりヘコむ〜!」

「大丈夫?お話聞いてあげるよ?」

「ありがとう。俺も気になる人に会えたんだけど、肝心の名前を聞くのを忘れたんだ…」

「智さんも気になる人とお話できたんだね!良かったね〜!…あ。私も名前知らないや…聞く勇気もまだないけど…恥ずかしいし…」

「じゃあ、この次もし会えたら名前聞くのお互いの宿題ね!」

「え〜!無理無理!!だって恥ずかしいんだもん…」

「そっか。じゃあ俺だけの宿題!」

「頑張って!」



お互い、いいことがあったせいかいつもより長くメールのやり取りが続いた。

「もうこんな時間だけど、綾さん眠くない?」

智からのメールで綾はもう時計が12時を過ぎているのに気付いた。
綾はいつもは11時頃にはベッドに入っている。
「え…!!大変〜!寝なくっちゃ!智さんは大丈夫?」
慌ててメールを返す。

智は明日は朝から仕事が入っていた。
綾とメールはしたいけど、遅刻する訳にはいかないのだ。
「大丈夫だよ!…と言いたいところだけど、実は明日すごく早かったりして…」
智はメールを返信すると、一つの賭けに出た。
(圭介はこんなことしたって聞いたら、呆れるだろうか…)
「綾さん、モーニングコールしてくれないかな〜??」
目を瞑り、送信ボタンを押した。
(…え??)
一通目のメールを読んでいる最中に次のメールが来た。
綾は慌てて二通目を開いて見た。
「もーにんぐこーる??え?!」
メールを読んで更に慌てる。
びっくりしてつい声にも出てしまった。
(智さん、どうしたの?私の声聞きたいのかな?)
立ち上がり、意味もなく部屋の中をうろうろし始める綾。
(えっと…どうしよう…?)
メール友達からの突然の電話での会話の誘い。
頼まれるとイヤと言えない性格の綾は、すっかり困惑してしまっていた。

一方、智は、今まですぐに返信があった綾からのメールがちょっと遅くなっていることに気付く。
(やっぱり無理だよな)
そう思うとまたメールを作り出す。
「ごめん、綾さん!冗談だよ〜!ちゃんと一人で起きられるから。ちょっと困らせてみたかったんだ。」
全く期待していなかった、と言えば嘘になる。
少しは期待していただけに、またため息が出た。
「はぁ〜…」
ため息と共に送信ボタンを押した。

《送信できません》
「え?」
送信ボタンは押したはず。
智はメール作成画面に戻ってしまった携帯を見つめていた。
(電波が弱かったんだろうな)
そう思って急いで窓際へ移動し、再度送信ボタンを押す。
《送信できません》
「…何でだ?」
このメールを送信できなければ、もしかしたら綾とは二度とメールできないかもしれない。
そういう気持ちに襲われて、智は焦る。
と、携帯のメール着信音が鳴る。
見ると綾からのメールだった。

「いいですよ〜!私も最近朝早く起きるようにしてるから。で。モーニングコールって…?電話だよね?メールじゃないよね?」

「…」
綾からのメールを読み終わり、携帯を閉じる。
携帯を握りなおす…。
「…やったぁぁぁー!!」
智は思わず大声で叫ぶ。
「って…ホントだよな?俺、メール見間違えてないよな?」
智は閉じた携帯を開き、また綾のメールを読む。
「…神様っているんだな〜」
そんなちょっとぼけたことを言いながら、智は早速綾へ返事を作る。
「すごく嬉しいです!本当に電話してくれる?じゃあ、電話番号です。090…」
送信ボタンを押す。
今度はすぐにメールは送信された。

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