PiPi's World 投稿小説

遠距離恋愛
恋愛リレー小説 - その他

の最初へ
 14
 16
の最後へ

遠距離恋愛 16


「ごちそうさま。」
「ありがとうございました!」
レジ前に智が来る。
咲の目配せもあって、綾が対応する。
「紅茶、好きなんですか?」
レジを打ちながら綾が智に尋ねる。
「え…あ、実はコーヒーの方が好きなんだけど…」
答えを聞いて、綾は少しがっかりする。
「そうなんですか…。」
「でも、今日のこの紅茶と君の話を聞いて好きになったよ。」
「…!」
綾の顔にぱあっと笑顔が広がる。
(か、かわいい…!)
智は綾の笑顔も好きになっていたのだが、それは心に仕舞っておく。
「また、紅茶飲みに来ていいかな?」
「ええ、ぜひ!お待ちしています!」
「ありがとう。じゃあまた…。」
「ありがとうございました〜!」

カランカラン…

綾は智が見えなくなるまで、ずっとその背中を見つめていた。

「綾ちゃん、やったね!」
後ろから咲が抱きつきながら話しかけてきた。
「咲さん…!はい!お話できました〜!」
「うんうん、綾ちゃん頑張ったね!これからもその調子で頑張らなきゃ、ね。」
「ありがとうございます…!」
咲も自分の事の様に嬉しいのだ。
「じゃ、もう少し今日のお仕事頑張ろうね!綾ちゃん。」
「はい!頑張ります〜!」
その後、綾がいつも以上に元気に仕事をしたのは言うまでもない。


「はぁ〜…かわいかったなぁ…」
智はカフェからの帰り道、ずっとため息ばかりだった。
(何で名前聞かなかったんだろう…)
名前を聞くチャンスは何度かあったはず。
彼女の笑顔につい見とれてしまい、聞きそびれた、というか忘れてしまったのだった。
「はぁ〜…また今度行ったら聞こう…」
まだ口の中に微かに残る紅茶の味を感じながら、
「はぁ〜…かわいかったなぁ…」
ため息をつく智だった。


「智さん!今日はいいことがあったんだよ!」
綾は自宅に帰るなり、携帯でメールを作り始める。
「今日は気になる人にまた会えたんだ。それで、今度はお話もできたの!私の好きな紅茶の話をしたんだけど…うまく伝わったかどうか不安〜」
一気にメールを作り終えると、すぐに送信する。
(智さん、早く返事くれるといいなぁ…)
そう思いながら、夕食の準備を始めた。

(ん?メール…?)
自宅への帰り道、智は背広の内ポケットに入れている携帯が震えていることに気づいた。
「あ、綾さんからだ…」
歩きながら携帯を取り出し、メールを開いてみる。
(…いいことがあったんだ…!綾さん嬉しそうだな…)
読み進めているうちに、智は日中に起こったことを思い出していた。
「はぁ〜…俺はちょっと失敗だったよ…」
カフェで会った彼女との事を思い出し、またため息をついてしまう智。
とにかく返信、と道路端に寄り返事のメールを作る。

「こんばんは、綾さん!お話できて良かったね!メールを読んでると俺も何だか嬉しくなってきたよ。
明日も気になる彼と会えるといいね。」

「あ、メール来た〜!」
台所にいた綾は、隣の部屋から聞こえてきた智専用のメール着音に気付く。
急いで手を拭くと、隣の部屋へ向かう。
「えっと…」
携帯を手に取り、智からのメールを見る。
智にも喜んで貰って、とても嬉しい。
「うん!明日もその人来てくれるといいな…!智さんは今日はどんな日だったの?」
嬉しさのあまり、メールを作る速さがいつもより早い。
すぐに送信すると、綾はまた台所に戻る。

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す