月夜の姫 3
だから有彦とは友達になれたのだろう…。さっき邪魔者扱いした自分に腹が立ってしまった。
「ね♪どうする?」
「そうだな…とりあえず公園とか静かなところに行かないか♪」
「うん♪いいよっ!!」
公園に着き、真っ先にはしゃいだのはアルクだ。
「志貴、志貴!!ブランコだよ♪」
アルクはブランコをキィキィ聞かせながら座っている。
「…かわいい…」
「ん?なんか言った?」
「えっ…あっ、なんでも…」
たまらずに言ってしまった本心。子供のようにブランコでとびきりの笑顔を放つアルクはかよわい女の子みたいだ。本当は俺より強いんだが…。
ちょうど夕陽がアルクを照らす…茜色に染まるアルクはまぶしそうに手をかざす…その後、俺の視線に気付いたようでニコッ♪っと笑顔をしてくれる…俺はある衝動に駆られた…
「アルク…」
「ん…?志…」
気付いた時には抱き締めていた。
「ど、どうしたの志貴!?」
「アルク…好きだ…」
「…………うんっ!!私もっ♪」
アルクはまた笑顔を見せてくれる。
「その笑顔を失いたくない…」
「志貴は私を笑わせてくれるよね?」
「ああ…もちろんだ!!」
その後…俺達は唇を重ねた。誰もいない公園で…。静かに…ゆっくりと…。
空は既に暗く…月の明かりがアルクを照らす…そしてまたニコッ♪と笑顔を見せてくれる…。
彼女こそ…
俺の月姫だ…。
〜fin〜