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コトノハ〜KIYOMARO&MEGUMI〜
恋愛リレー小説 - 二次創作

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コトノハ〜KIYOMARO&MEGUMI〜 14

「…水野」
「だから…私なら、恵ちゃんなんかじゃなくて、私なら…ね?」
 コイツ…恵さんのこと知らないくせに…。
「水野。それ以上なんか言ったら、お前でも本気で殴るぞ?」
「…ッ…」
 水野はハッとしたように口をつぐんだ。
「お前が恵さんをどう思ってるかは知らない。だが、本当の…素の恵さんを見てないお前が、侮辱するのは許せない。そんな奴のことは、好きになれない。なりたくもない」
 裾を掴んでいた手の力が抜ける。
「…悪い」
 一言告げ、走り出す。俺のせいで傷付いたかもしれない、大切な人を探しに。


「清麿…くんの…ハァ…バカ…」
 気付いたら走っていた。当てもなく、ただ逃げていた。
 転ぶのを助けたのはいい。だけど、長い時間手を握りすぎだよ…。
 こんなのは嫉妬にすぎないとわかってる。でも…でも、でも!!
「やっぱり…ヤダよぉ」
 涙が止まらない。でも走る。肺が痛い。でも逃げる。あんな清麿くんを見たくないから、醜い私を見せたくないから。
「キャア!!」
 なにかにつまずいた。体がバランスを失い、地面が近付いてくる。
ガシッ
「…間に…合った…」
 感じたのは痛みや衝撃じゃなく、包み込まれるような感覚。夢で描いた、あの感覚。
「ハイヒールで走ったら転ぶに決まってるだろ。怪我でもしたらどうするんだよ…」
 抱きしめられて、耳元で囁かれる。
「離して…。清麿くんは鈴芽ちゃんの所に行けばいいじゃない」
 こんなことが言いたいんじゃない。『貴方が好き』そう言いたいのに、皮肉めいた言葉しか出てこない。
「抱きしめる相手が違うんじゃない?」
 彼は首を横に振った。
「違わないよ。俺が抱きしめたいのは、恵さんだけだから」
「気休めは…やめてよ」
 気休めなんかじゃないってわかってる。清麿くんが本心で言ってるっていうのも。でも、嫉妬という黒い塊が、私を感情的にする。
「…やめて」
「やめない」
「やめてよ」
「ヤダ」
「やめてってば!!」
「…」
 反論がこない…?ちょっと沈黙して、震える声で清麿くんは、話し出した。
「…こんなことで、恵さんを傷付けた償いにはならないだろうけど…。泣いてる貴女をほっとけない」
「同情?」
 私の言葉に再び黙ってしまう。
「…フゥ…」
 ひとつ、ため息。清麿くんは意を決したように喋る。

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