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はみんぐデイズ
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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はみんぐデイズ 59

途端、生徒会室中の視線がハリに集まった。
「まずは夕餉ですか?」
カリンは呆れたような微笑ましいような顔でそう告げた。
「何か前にもこんなことあったよね〜」
ヒナが面白そうに言う。
「エリカ先輩の時ね……」
ハリもまた顔を赤くして言うのだった。
「………じゃあ、ご飯作る」
「え、ラムネちゃん作れんの?」
ハリは思わず声をあげたが、ラムネはその首を縦にも横にも降らずに、
「………リンゴの皮むきだけなら」と、ただそれだけ言った。
「じゃあヒナ、わたしらで作ろっか」
「だね〜」
「ちょっと待ちなさい」
ラムネに絶句した後のハリとヒナの決心にカリンが声を上げる。
「シノさんの書類に目を通した時に、ハリさんはブルーベリーが好きで、ヒナさんは梅干しが好きだとか」
カリンはシノの書類に記してあった二人の好物への異常なまでの嗜好について、少し危惧していた。
カリンの言葉にハリとヒナは満面の笑みを浮かべる。
「良いブルーベリーが買えたんですよ♪」
「ヒナ印の梅干しが火をふきますよ〜」
一体どんな料理が出来るのか、カリンは想像も出来なかった。
「……私が作ります」
「え、カリン先輩料理出来るんですか?」
ハリが尋ねるとカリンは少し顔を赤くして咳払いをした。
「当たり前です」
「………カリンさん、花嫁修行中。目指せラブラブライフ、相手は勿論……」
そんなカリンの後ろから、ラムネがぼそっと呟き始める。
「ラムネさん何か言いました?」
「………あ、ちょうちょ」
額に青筋を立てるカリンを見て、ラムネは明後日の方向に進みながら霧消した。本体はというと生徒会室の机で読書をしていた。
どうやら今まで喋っていたのは本体では無かったらしい。
「〜〜〜!」
こうしてカリンの気苦労なぞなんのその、ハリたちのお泊まり会が始まったのであった。
夕飯を作るために台所へ向かうカリン。冷蔵庫を開けた彼女の目の前には壮絶な光景が広がっていた。
「う、梅干しとブルーベリーしかない……!!」
紫と赤の丸いものが白い冷蔵庫内に敷き詰められていた。
冷凍庫は?と開けてみると、やはり大量の冷凍ブルーベリーが…
「あの子達これで何を作るつもりだったのかしら…?」
この梅干しとブルーベリーの山から生まれるモノを想像してカリンは背筋が急激に冷えるのを感じた。
「とりあえず食材を揃えなくちゃ。マルケス、パウロ、このメモに書いてある食材を集めてきて」

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