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はみんぐデイズ
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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はみんぐデイズ 45

「おお、そうなんじゃ!この前なかなかいい椅子を見つけてのう、って、ゴホン。確かに椅子も見せたいが、今日君に見せたいのはこっちじゃ」

理事長はローブの袖から巻物を取り出し、テーブルの上に広げた。

「これはフィレルの地図?」
「そうじゃ」

確かに広げられたそれはフィレルの地図であったが、おかしな点が一点あった。
城壁の周りに多くの赤い丸が記されているのだ。
その数、ざっと50。

「この丸は?」
「詳しくはまだよく分かっておらんが…」
「敵、ですね?」

「…おそらくはな。近々禁軍が調査と討伐を兼ねて出兵するそうじゃ。じゃが人手が足りんらしくてのう、王都からこの学院の生徒に従軍要請が出とる。わしも努力したんじゃが、やはり王都には逆らえん」
「こういうのために今年度から戦闘訓練を導入しましたが、まだ実戦じゃ…っていうか、オレのかわいい後輩達を戦争に連れて行けるわけねぇ!」

突然ユウはソファーから立ち上がって激昂した。
普段のユウからは考えられないほどの剣幕だ。

「そんなことはわしだってさせたくはない…!わしに『煉獄の火竜(サラマンドラ)』と呼ばれておった頃の力が残っておれば…」

理事長室に沈黙が走る。
そしてその沈黙を破ったのはユウだった。

「じゃあオレ達生徒会執行部が行きますよ♪」
「たった6人でか!?」
「いえ、カリンとラムネを除いた4人で、です♪あの二人は生徒会の経験も浅いし、特に幼いラムネにはこんな汚い仕事をさせたくはない。場合によっては人を殺すこともあるような汚い仕事を…」
「じゃが君達4人だけでは…いや、心配無用じゃな。去年『フィレルの四神』と呼ばれ、畏れられた君達ならば」
「そういうことです♪一週間くらいで片付けてきますんで、無事に帰ってきたらご褒美よろしくお願いしま〜す♪」

そう言ってユウは理事長室を後にした。

「ご褒美か…あ、そうじゃ、この前買ったアンティークの椅子にしようかの。ちょうど4脚セットじゃし」

本気でそんなことを考える理事長カルロであった。



「……っちゅーわけで、図書室から脱走してきた訳や」
「一生分ぐらい読んだなぁ…」
「大変だったんすね…」
 場所は変わり保健室。 
なんとか図書室からの脱走に成功したハリとシノは、保健室で愚痴を零していた。
ラムネは、だしまくった図書室の本を片付ける為に、戻っていった。
「あ、そういやさっき生徒会の人が来てましたよ? なんか三つ編みの…な、ヒナ」
「あぁ〜。なんか怖かったよ…」
「カリンか。あいつ厳しいからなぁ、どーせ朝月達、いちゃいちゃしてたんやろ?」
『なっ…』

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