はみんぐデイズ 44
(………これと…これ)
ハリをいち早くA級あたりに上げたい。シノはもうちょっと綺麗でおとしやかな女の子になって欲しい。という気持ちも合わさって、ラムネは本棚を漁りまくった。
「………キレイに見えるテーブルマナー1」
「ほぇ? 食事? …まぁ良いか♪」
「………世界まほまほ滞在記」
「…パクり…じゃないよね?」
どんどん間違った方向に行ってるのを知ってか知らずか、ハリとシノは至って真面目に読書に励んだ。
「ライスはフォークの背に乗せる? 食いづらいやろ…」
「竜坂 雅がぁ…ハムナプトラにぃ…出会ったぁ…って…パクり決定?」
(………もっともっと知識を…)
この勢いのまま、ほぼノンストップ、エンドレスな感じで本を出しまくった。
「活字が…悪魔に見える…」
「…やんやんやー…新聞読みたい…」
そして現在に戻ったのだった。
「………ジャッジメントの使い方」
「…使わないぃ…」
「………武装鳥の最強呪文」
「……スクープが欲しいんや…」
まだまだ勢いが止まらないラムネに、ハリは一つの提案をした。
「ほ、ほら、ヒナ達が起きたかも知れないし、保健室戻ろ? ラムネちゃん」
(死ぬ!! これ以上読んだらショック死する!!)
「………わかった」
二人の意図がわかったのか分からなかったのか、意外と簡単にラムネは頷いた。
(………今度は本持って行ってあげよう)
二人にとっては恐ろしいことを考えつつも、ラムネは保健室へ繋がる階段を案内していった。
同時刻。
教師棟最上階の理事長室にて。
そこには二人の人物がソファーに座っていた。
一人は生徒会長のユウ。
そしてもう一人は…
「それで今日オレを呼んだのはどういう理由ですか、理事長?」
真っ黒なローブに身を包み、ユウの前に座って紅茶をすすっているのはこのフィレル魔術学院の理事長、カルロ=ヴァン=シャルルクラール=シェルフィーズ=ド=メディシスである。
「まさかまたアンティークの自慢ですか〜♪」