はみんぐデイズ 25
次にシュウジが立ち上がり、腕を組み、目を閉じた状態で報告する。
「火属性、平均点は7.0点。総合点数25点以上は二名」
そして最後にラムネがふわりと立ち上がって告げる。
「水属性、平均点は6.4。総合点数25点以上は一名」
「なるほど…。こういう結果になりましたが、会長?」
エリカは報告を聞き、会長であるユウに返答を促した。
しかし…。
「……ユウ?」
「…ん? あ、ん?」
ユウは今まで一言も喋らずニコニコしていた。
それが話しかけた瞬間に目をしばたたかせたのだ。
「まさか…寝てたのでは?」
「ままま、まっさか〜、オレはちゃんと聞いてたさ、はいそこジト目で見な〜い」
「……ユウ、あたくし、キレましてよ?」
エリカがプルプル震えながら言うと、ユウの口がピキと音を立てて固まりだした。
「あ、あが、エ、リカ、す、すみませ…口が…凍…」
「あちゃー、エリカをキレさせるなんて、会長さんも命知らずやな」
「………自業自得です」
エリカはその誉め言葉なのかそうでないのか良く分からないやりとりにため息をついた。
「まったく、カリンさんがいたら、口が凍るどころではすみませんよ?」
ユウは両手を出してエリカをなだめた。
「OKOK、分かっちゃいましたよ〜。まぁ見た感じ今年の一年はあまり成績が芳しくないようだね」
「ウチらの黄金時代と比べるとアカン感じが否めんなー」
ユウに反応したのはシノだった。シノは一年の頃から生徒の細かいデータを自分で作成していたから、自分たちの代と今の一年生の差がどれほどのものか、この中で一番理解しているだろう。
「………黄金?」
「ラムネは…そうか」
首を傾げるラムネにシュウジは瞑っていた目を開けた。
ラムネは飛び級生のため、無条件で生徒会に入ったのだ。
「俺たちの学年はこの学園始まって以来の強者揃いだったらしくな。初めて生徒会の組会を選挙では無く、魔法戦で決めた年だ」
「………凄い」
「まぁ、そのことはもういいですわ」
エリカはため息をついて話しを元に戻した。
「魔力低下のこともそうですけれど、やはり今回の議題は―――」
『皆月ハリ』
皆が口を揃えて言った後、
「………ハリちゃん」
とラムネが遅れて言った。
「模擬戦にして、あの生徒会席争奪戦にて優秀な成績を修めた『閃空の支配者』シノを倒した『風』属性の炎使い」
ユウはまさに歌うようにしてハリを語った。
「オレが助けた子は実は凄い子だったんだねぇ」
しかしその瞬間、シノが物凄い音を立てるくらい強く机を叩いた。
「ウチは負けたわけやない!! あのあと皆月ハリは魔力切れでリングアウトや!」
「おぉ怖い怖い。可愛い顔が台無しだぜシノっち〜」
「うるさいわっ!」
シノはユウに意外な事を言われ、顔を赤くして一喝した。
そこでシュウジも顎に手を当て唸る。
「しかし俺が感じた魔力の流動は確かに『火』属性のものだったな」
「それにシノさんの式神を焼ききる強さ…。ただの『火』ではなくてよ?」
「………異常です」