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はみんぐデイズ
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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はみんぐデイズ 24

ヒナがいきなりあたしの視界の横から現れたかと思うと、ヒナはどうやらあたしを看ていてくれたらしく、ベッドの隣に丸椅子を置いて座っていた。
「わ…は無いと思うけどね。でもハリの驚いた顔面白いからいっか〜♪」
ひどいよヒナさん、トホホ。
するとクリス先生が机から立ち上がり、こちらに歩いてきた。
「まぁ魔力切れはいいけど、二回も出し切ったのだから、体に相当な負担がかかってると思うわ。今日は安静にすること、いい?」
「は、はい」
あたしがうなづくと、クリス先生も満足そうにうなづいた。

「ならもう帰りなさい。暗くなると危ないわ」
「もう5時だよ。早く帰ろハリ。また危ないお兄さんに拉致監禁されそうになるんだから」
「ん、そだな」
そしてあたしの騒がしい訓練は幕を降ろした。
さぁ、そろそろ魔法検定の発表だけど、受かってるかなぁ、今はそれだけが心配だ。
いや、それだけじゃない。
シノ先輩と戦った時のあたしの魔法、あれは一体なんだったんだろう。
あたしの中の『詩』が『詞』になったような…そんな感じ。<歌>という魔法。もしかしたら、あたしは自分の魔法について何も知らないのかもしれない――。


一方、学園内で校長室に次いで高い位置にて。
「さぁ、皆さん、お集まりいただけたみたいですわね」
エリカは円卓の所定の位置に座る生徒会メンバーを見渡して告げた。
生徒会棟。
そこはこの魔法学校の高等部のトップが集う生徒会専用の校舎で、会議室は最上階の五階にあった。
部屋は風が吹いても揺れない火の灯ったシャンデリアの下に円卓があるだけという質素なものだったが、生徒会のメンバーが顔を揃えるとそれだけで荘厳な部屋となった。
「カリンはどうした?」
シュウジは腕を組みながらエリカを見据えた。
席の数は全部で六つ。
その中で一つ、『深緑の監視者(ヴァージャラス・ウォッチャー)』こと鬼の風紀委員、遠山カリンの席だけ空いていたのだ。
「カリンさんは地の訓練所の整頓をやってますわ。『地』属性は文字通り地が荒れますからね。潔癖症のカリンさんのことですから、今頃きっと耕した土を均している最中ですわ」
「………生真面目」
ラムネはボソッとつぶやくが、それを耳ざとく聞いたシノは手を振った。
「いやいや、ラムネも少しは見習えや。一日中図書館籠もってからに…ウチの調べによると不健康児No.1や」 
「………前向きに検討します」
「政治家かいなっ!」
シノのツッコミにシュウジもうなづいた。
「座布団一枚だ」
「いや、シュウジまで乗るんかいな」
「ふふ…では、皆さん、早速ですが訓練報告をお願いしますわ。では…シノさんから順にお願いしますね」
「いいで」
シノは立ち上がり、用意した書類に視線を落とした。
「風属性、平均点は7.7。総合点数25点以上は三名」
総合点数というのはレッスン1の10点、2の10点、そして3の10点を足した30点満点のうちどれだけ取れたかを言うものである。

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